2025-01-21
確定拠出年金制度等の見直しについては、(1)背景、(2)内容、(3)適用時期、(4)注意点は以下の通りである。
(1)背景
働き方やライフコースが多様化する中で、税制が老後の生活や資産形成を左右しない仕組みとしていくことが、豊かな老後生活に向けた安定的な資産形成の助けとなると考えられる。こうした考えの下、勤務先の企業が企業年金を設けているかどうか、企業年金の形態がどうであるかといった違いにかかわらず、継続的に、かつ、平等に資産形成をできる環境の整備を進める必要がある。
さらに、豊かな老後生活に向けて、公的年金を補完し、老後に向けた資産形成を支援するという私的年金の役割を踏まえ、賃金上昇の状況を勘案したため引上げを行うこととする。
(2)内容
①企業型確定拠出年金制度におけるマッチング拠出
企業型年金加入者掛金の額は事業主掛金の額を超えることができないとする要件を廃止する。
②企業型確定拠出年金の拠出限度額
イ 確定給付企業年金制度に加入していない者 月額6.2万円(現行:月額5.5万円)
ロ 確定給付企業年金制度の加入者 月額6.2万円(現行:月額5.5万円)から確定給付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額
③個人型確定拠出年金制度について、60歳以上70歳未満であって現行の個人型確定拠出年金に加入できない者のうち、個人型確定拠出年金の加入者・運用指図者であった者又は私的年金の資産を個人型確定拠出年金に移管できる者であって、老齢基礎年金及び個人型確定拠出年金の老齢給付金を受給していない者
新たに制度の対象とし、月額6.2万円
④個人型確定拠出年金
イ 第一号被保険者 月額7.5万円(現行:月額6.8万円)
ロ 企業年金加入者 月額6.2万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び企業型確定拠出年金の掛金額を控除した額(現行:月額2.0万円)
ハ 企業年金に未加入の者(第一号被保険者及び第三号被保険者を除く。) 月額6.2万円(現行:月額2.3万円)
⑤国民年金基金の掛金額 月額7.5万円(現行:月額6.8万円)
(3)適用時期
確定拠出年金法等の改正を前提に、現行の税制上の措置を適用することとされている。
(4)注意点
令和7年度税制改正大綱において、確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金の支払を受ける年の前年以前9年内に老齢一時金の支払を受けている場合には、当該老齢一時金等について、退職所得控除額の計算における勤務期間等の重複排除の特例の対象とする改正が見込まれているため、出口課税を意識した加入が必要となる。
(参考)令和7年度税制改正に関する参考資料
https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/001365075.pdf