令和7年度税制改正大綱解説【法人税・防衛特別法人税(仮称)】

1 法人税の税率について(1)背景、(2)内容、(3)適用時期、2 防衛特別法人税(仮称)について(1)背景、(2)内容、(3)適用時期、(4)注意点は以下のとおりである。
 
1 法人税率
(1)背景
わが国では、世界的な法人税率の引下げ競争が展開される中、2010年代に、設備投資や雇用・賃上げの促進、立地競争力の強化を測るため、法人税率を引き下げた。
しかし、企業部門では、収益が拡大したにもかかわらず、国内投資は低水準であり、賃上げについても、諸外国と比較して、長年低迷してきた。他方、企業の利益が現預金として社内にとどまる傾向が一層強まってきた。これらを背景に、所得金額が大きい中小企業等については、法人税率を引き上げることとなった。
 
(2)内容
中小企業者等の法人税の軽減税率の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
①所得の金額が年10億円を超える事業年度について、所得の金額のうち年800万円以下の金額に適用される税率を17%(現行:15%)に引き上げる。
②適用対象法人の範囲から通算法人を除外する。
 
(3)適用時期
令和7年4月1日以後に開始する事業年度から適用
 
2 防衛特別法人税の創設
(1)背景
わが国の防衛力の抜本的な強化を行うために安定的な財源を確保するという観点から、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置より設けられる。なお、中小法人に配慮する観点から、課税標準となる法人税額から500万円を控除する。
 
(2)内容
各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が納税義務者となる。防衛特別法人税の額は、基準法人税額から基礎控除額(年500万円)を控除した金額に4%の税率を乗じて計算した金額とする。
 
(3)適用時期
令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用
 
(4)注意点
個人に対しては、令和7年度税制改正大綱においては引き続き検討することとなった。
ただし、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置として、たばこ税については、加熱式たばこについて、令和8年4月及び令和8年10月に2段階で加熱式たばこの紙巻たばこの換算本数を変更する。