令和7年度税制改正大綱解説【法人税】①

中小企業経営強化税制の見直し及び拡充について(1)背景、(2)内容、(3)適用時期、(4)注意点は以下のとおりである。
 
(1)背景
中小企業の中でも、売上高100億円を超えるような中小企業は、輸出や海外展開等により域外需要を獲得するとともに、域内調達により新たな需要を創出する地域の中核となる存在であり、そうした企業を育成することで、地域経済に好循環を生み出していくことが鍵となる。そのため、売上高100億円超を目指す、成長意欲の高い中小企業が思い切った設備投資を行うことができるよう、中小企業経営強化税制を拡充し、対象設備に建物を加える。
 
(2)内容
本改正で拡充される「売上高100億円超を目指す中小企業に係る措置」は中小企業経営強化税制のB類型(収益力強化設備)に上乗せしたものである。具体的には、特定経営力向上設備等に、その投資計画における年平均の投資利益率が7%以上となることが見込まれるものであること及び経営規模の拡大を行うものとして経済産業大臣が定める要件に適合することにつき経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備(機械装置、工具、器具備品、建物及びその附属設備並びにソフトウエアで、一定の規模以上のもの)を追加する。
 
なお、建物が対象となるのは、基準事業年度(経営力向上計画の認定を申請する事業年度の直前の事業年度)の売上高が10億円超90億円未満であること、売上高100億円超及び年平均売上高成長率10%以上を目指す投資計画であること、売上高100億円超を目指すための事業基盤、財務基盤及び組織基盤が整っていること、経営力向上計画の認定を受けた日から2年以内に導入予定の設備の取得価額の合計額が、1億円と基準事業年度の売上高の5%相当額とのいずれか高い金額以上であること、また投資計画の計画期間中において、給与等の支給額を増加させるものであること、その他の要件を満たしている場合に限られる。また、経済産業大臣の確認を受けた中小企業者等は、その確認を受けた投資計画の計画期間中は、中小企業投資促進税制及び中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用を受けることができないので注意が必要である。
 
(3)適用時期
令和9年3月31日まで
 
(4)注意点
デジタル化設備(C類型)は廃止となる。また、暗号資産マイニング業の用に供する設備は明確に除外される。