会計検査院 教育訓練費に係る上乗せ税額控除の検査状況等を公表

会計検査院は1月15日、「租税特別措置(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度)における教育訓練費に係る上乗せ税額控除の適用状況、検証状況等について」、会計検査院法第30条の2に基づく国会及び内閣への随時報告を行った。
 
この制度は、平成25年度税制改正において、給与等支給額を増加させた場合においてその増加額の一定割合の税額控除を可能とする制度として創設され、平成30年度税制改正において、教育訓練費を増加させた場合に税額控除割合を上乗せすることができる措置が追加されたものである。
 
適用状況について、給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度を適用していた法人(平成30~令和3事業年度に電子申告を行った法人)は延べ334,716法人、税額控除額は6,211億円であり、このうち教育訓練費に係る上乗せ税額控除を適用した法人は延べ12,861法人、税額控除額は313億円となっていた。
 
教育訓練費に係る上乗せ税額控除は、その適用要件となっている事項と税額控除額の計算基礎となっている事項が異なる他に例のない仕組みであり、税額控除額が当該制度を適用した法人が負担した教育訓練費の増加額を上回る状況が生ずることも想定されていた。
 
検査を実施した結果、当該制度を適用した法人延べ12,861法人のうち延べ9,812法人(76.2%)において、実際に負担した教育訓練費増加額を上回る額の税額控除を受けている状況が見受けられ、その超過額は214億円となった。
 
これらのことから、適用要件となっている事項と税額控除額の計算基礎となっている事項が異なる教育訓練費に係る上乗せ税額控除の仕組みについては、政策目的である給与等の増加を促すために税負担の軽減を行う措置として、適切な制度となっていないおそれがあると認められたとしている。
 
当該制度については、検査によって明らかになった状況を踏まえ、経済産業省等及び財務省において、その効果及び要望措置の妥当性を検証して、当該検証結果を基に経済産業省等において見直しを検討することが重要であるとの所見を報告した。
 
(参考)「租税特別措置(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度)における教育訓練費に係る上乗せ税額控除の適用状況、検証状況等について」

https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/7/r070115.html