税務署窓口業務における新たな取組について

国税庁は、税務行政のデジタル化を推進するため、税務署窓口業務における新たな取組を公表した。この取組は、納税者の利便性向上と業務効率化を図ることを目的としており、主に次の2つの施策から成り立っている。
 
1. 窓口でのキャッシュレス納付の利用勧奨(キャッシュレス推進デーの試行)
国税のキャッシュレス納付とは、金融機関や税務署に出向くことなく、自宅や事務所から非対面で納付手続きが可能な方法である。具体的には、「ダイレクト納付」(e-Taxによる口座振替)、「インターネットバンキング」、「クレジットカード納付」、「スマホアプリ納付(コード決済)」、「振替納税」などがある。
国税庁は、更なるデジタル化を推進するため、特定の曜日(例:月・水・木)、10日(源泉所得税の納期限)や月末、確定申告期間の特定の日を「キャッシュレス推進デー」と定め、税務署の窓口において通常日以上にキャッシュレス納付の利用を勧奨する試行を行う予定である。
具体的な施策としては、来署者にキャッシュレス納付のマニュアルを配布し、その内容に基づいた納付体験の実施、納税者自身のスマートフォンを利用したキャッシュレス納付の実践機会の提供、税務署内のパソコンを使用したダイレクト納付の疑似体験の実施などが計画されており、これらの取組により、キャッシュレス納付の利用拡大を図るとしている。
現在、大阪国税局および福岡国税局管内の一部税務署で試行が実施されており、令和7年4月1日から全国での展開が予定されている。
 
2. 用紙コーナーの見直し
税務署の窓口付近に設置されている税務関係書類の「用紙コーナー」が、オンライン手続きを促進するために見直され、令和7年12月までに順次撤廃される予定である。
用紙コーナーの撤廃に伴い、税務署に申請・届出関係の用紙の備え置きがなくなるため、納税者は自身のパソコンやスマートフォン等からe-Taxを利用して提出するか、国税庁ホームページから必要な用紙をダウンロードして使用することとなる。
自宅での用紙のダウンロードが困難な納税者は、税務署窓口に設置されたパソコンを利用して国税庁ホームページから用紙を印刷するか、総合窓口で必要な用紙の交付を受けることができる。また、納税者からのニーズが高い時期(確定申告や年末調整など)には、従来どおり、窓口に書類を備え置く場合もある。
 
国税庁は、納付書送付の廃止および申告書等の控えに対する収受日付印の押印廃止など、書面処理の廃止に向けた施策を段階的に実施している。令和5年度におけるe-Tax利用率は、所得税申告において69.3%、法人税申告において86.2%に達しており、オンライン化の流れが一層加速すると予想される。e-Taxやキャッシュレス納付に対応していない納税者や税理士は、迅速な対応が求められる。
 
(参考)日本税理士会「国税庁からのお知らせ 税務署窓口における取組について」

https://www.nichizeiren.or.jp/whats-new/250123a/

 

(参考)国税庁「税務署窓口における取組の概要」

https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/whatsnew/doc/madoguchi.pdf