2025-03-11
国税庁では、税務調査以外にも様々な取組を実施し、納税者の税務コンプライアンスの維持・向上を図っており、自発的な適正申告が期待できる大企業(調査課所管法人)に対しては、協力的手法(税務に関するコーポレートガバナンス(税務CG)の充実に向けた取組・申告書の自主点検と税務上の自主監査のための確認表の活用)を通じて、税務コンプライアンスの維持・向上を促している。
協力的手法とは、大企業との協働関係を築いた上で、自発的な税務コンプライアンスの維持・向上を促すものであり、税務CGとは、税務について経営責任者等が自ら適正申告の確保に積極的に関与し、必要な内部体制を整備することをいい、充実が期待される企業として上場企業や内部統制システムの整備が義務付けられている企業を挙げている。
今回、同庁では、令和5事務年度の取組状況等を取りまとめ2月21日に公表した。
調査部特官所掌法人の税務調査において、110法人の税務CGの状況の確認・判定を行った結果、評価結果は、良好(30法人)、おおむね良好(73法人)、改善が必要(7法人)であり、構成比は直近2事務年度と同様の傾向であったが「良好」の割合が高く、「改善が必要」の割合は低くなっている。
各確認項目別では、経営責任者等の関与・指導について、「良好」の割合は約9割と直近2事務年度(約7.5割)と比べて高くなっており、税務CG充実の重要性を理解し、経営責任者等の積極的な関与や社内外への情報発信等を行っている法人が多く見受けられた。
税務に関する内部牽制の体制については、「良好」の割合は約2.5割と直近2事務年度(約2割)と比べて高くなっているが、運用面では更なる徹底や見直しが必要な法人が一定数見受けられた。
税務調査での指摘事項等に係る再発防止策については、「良好」の割合は約3割と前事務年度(約2割)と比べて高く、「改善が必要」は横ばいとなっている。再発防止策を策定していない、あるいは再発防止策を講じているものの、十分に機能しているとまでは言い難い法人が一定数見受けられた。
税務調査への的確な対応及び帳簿書類等の保存状況については、「良好」の割合について、前者は約6割と前事務年度(約5割)と比べて高く、後者は約7割と前事務年度と同様になっている。いずれの項目も自発的な適正申告に向けた体制・環境等構築の観点から重要な要素と考えられ、一層の充実が期待されるとしている。
なお、同庁では税務CGの充実に向けた取組をより一層促進させる観点から、税務調査で指摘した誤りについて、同様の誤りが生じないようにするため、再発防止策の策定・運用を促す取組(再発防止促進プログラム)を実施している。
(参考)協力的手法を通じた自発的な適正申告の推進
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/hojin/sanko/0025002-034_01.htm