「企業取引研究会報告書」に対する意見募集の結果

公正取引委員会、中小企業庁は、2月21日「企業取引研究会報告書」に対する意見募集の結果を公表した。
 
この報告書では、デフレ型の商慣習からの脱却の必要性とデフレ型の商慣習からの脱却に向けてについて検討が行われており、デフレ型の商慣習からの脱却に向けてでは、1 下請法の見直し(下請法の改正についての事項)、2 独占禁止法(優越的地位の濫用)・下請法の運用・執行の見直しについて検討が行われた。
 
1 下請法の見直し(下請法の改正についての事項)、2 独占禁止法(優越的地位の濫用)・下請法の運用・執行の見直しでは、適切な価格転嫁の環境整備に関する論点(買いたたき規制の在り方)、下請代金等の支払条件に関する論点、物流に関する商慣習の問題に関する論点を共通して検討し、下請法の適用基準に関する論点(下請法逃れへの対応)、知的財産・ノウハウの取引適正化に関する論点についても検討が行われた。
 
報告書では解決の方向性として、
 
適切な価格転嫁の環境整備に関する論点(買いたたき規制の在り方)では、
・実効的な価格交渉が確保されるような取引環境を整備する観点から、例えば、下請事業者からの価格協議の申出に応じなかったり、親事業者が必要な説明を行わなかったりするなど、一方的に下請代金を決定して、下請事業者の利益を不当に害する行為を規制する必要がある。
・サプライチェーン全体での円滑な価格転嫁を実現するため、上記の観点を優越的地位の濫用の考え方にも当てはめ、優越ガイドライン等で想定事例や考え方を示すことを検討する必要がある。
 
下請代金等の支払条件に関する論点では、
・紙の有価証券である手形については、下請法の代金の支払手段として使用することを認めない。
・その他金銭以外の支払手段(電子記録債権、ファクタリング等)については、支払期日までに下請代金の満額の現金と引き換えることが困難であるものは認めない。
・振込手数料を下請事業者に負担させる行為は、合意の有無にかかわらず、下請法上の違反に当たることとし、その旨、解釈を変更して、運用基準において明示する。
・サプライチェーン全体で手形の廃止や支払サイトの短縮化を実施していくため、不当に長く支払サイトを設定するような行為について、優越的地位の濫用に係る考え方を整理し、優越ガイドライン等で想定事例や考え方を示すことを検討する必要がある。
 
物流に関する商慣習の問題に関する論点では、
・発荷主が運送事業者に対して物品の運送を委託する取引の類型を新たに下請法の対象取引とする。
 
とされた。
 
報告書に対する意見は、全体で209件の意見が寄せられ、適切な価格転嫁の環境整備に関する論点(買いたたき規制の在り方)には29件、下請代金等の支払条件に関する論点には15件、物流に関する商慣習の問題に関する論点には20件の意見が寄せられた。
 
最も多く寄せられた意見は、知的財産・ノウハウの取引適正化に関する論点で、54件の意見が寄せられ、 下請法の適用基準に関する論点(下請法逃れへの対応)にも28件の意見が寄せられた。
 
(参考)(令和7年2月21日)「企業取引研究会報告書」に対する意見募集の結果について