中小企業における最低賃金の影響に関する調査

日本商工会議所ならびに東京商工会議所は3月5日、「中小企業における最低賃金の影響に関する調査」の結果を公表した。本調査は、中小企業における最低賃金引上げの影響や政府目標への受止めについて、中小企業の実態を把握し今後の意見・要望活動に活かしていくため、本年1月から2月にかけて全国47都道府県の会員企業を対象に実施したものであり、3,958社の回答を東京23区・政令指定都市の都市部(601社)とそれ以外の地方(3,357社、うち従業員20人以下の小規模企業1,619社)に分け、集計・分析を行っている。
 
2024年の最低賃金引上げにより、「最低賃金を下回る従業員がいたため、賃金を引き上げた」と回答した企業は44.3%であり、昨年調査から5.9ポイント増加している。地方では46.4%に達し、都市部より14ポイント高くなっている。
 
最低賃金引上げに伴う人件費増への対応については、「具体的な対応が取れず、収益を圧迫している」と回答した企業が31.4%と最も多く、「人件費増加分の価格転嫁」が26.9%、「原材料費等増加分の価格転嫁」が22.3%と続いている。
 
現在の最低賃金の負担感について、「大いに負担」、「多少は負担」と回答した企業の合計は76.0%であり、特に「大いに負担」と回答した企業は32.3%と昨年調査から11.8ポイント増加している。地方では77.5%に達し、都市部より9.6ポイント高くなっている。
 
新たな政府目標(2020年代に全国加重平均1,500円)について、「対応は不可能」と回答した企業は19.7%、「対応は困難」と回答した企業は54.5%、合計で74.2%となっており、地方・小規模企業では25.1%が「対応は不可能」と回答している。
 
2025年度より政府目標どおりの最低賃金引上げ(7.3%・89円)が行われた場合の影響について、「人件費以外のコストの削減」と回答した企業が39.6%で最も多く、「残業時間・シフトの削減が31.3%で続いている。なお、「収益悪化により、事業継続が困難(廃業、休業の検討)」との回答した企業は15.9%、地方・小規模企業では20.1%に達している。
 
対応可能な引上げの水準について、「年平均3%程度」と回答した企業が23.0%で最も多く、「年平均1%未満」から「年平均3%程度」までと回答した企業の合計は67.9%となっている。政府目標どおりの引上げ7.3%に対応可能となる、「年平均7%程度」及び「年平均8%以上」と回答した企業の合計はわずか1.0%に留まっている。
 
(参考)「中小企業における最低賃金の影響に関する調査」

https://www.jcci.or.jp/news/research/2025/0305110017.html