2025-04-08
東京商工リサーチは3月21日、全国の労働局が公表した「雇用調整助成金」等の不正受給が2020年4月から2025年2月28日までに1,620件に達し、支給決定が取り消された助成金は合計530億352万円で、1件あたり平均3,271万円となっていることを公表した。
2025年の月別公表は、1月は35件で3カ月ぶりに40件を下回り、2月は2カ月ぶりの40件台だった。2024年12月は54件で5カ月ぶりに50件を超えたが、2025年に入り一転して減少に転じた。
公表された1,620件のうち、「雇用調整助成金」だけの受給は939件で約6割(構成比57.9%)を占めた。このほか、パートタイマー等の雇用保険被保険者ではない従業員の休業に支給される「緊急雇用安定助成金」のみが220件(同13.5%)、両方の受給は461件(同28.4%)だった。
厚生労働省では、不正受給の対応を厳格化しており、不正受給は「刑法第246条の詐欺罪」等に問われる可能性があるとして特設サイトで注意喚起を行っている。(※)
厚生労働省では、労働局で積極的な調査を行っており、受給した助成金について、自ら調査を行い、不正・不適切な場合は自主申告を行うようパンフレットを作成している。
同パンフレットによれば、下記のようなことがないかどうか
・休業として申請したが、実際には出勤している社員がいた
・雇用関係にない者を含めて申請している
・申請内容に誤りがあったが、そのままにしている
・支給申請は従業員や知人に任せているから安心だ
また、代表者が下記のように考えていたら要注意
・自分は実態を把握していないが、休業を指示しただけで問題は無い
・実務を把握している社員に任せているから大丈夫
・申請は、助成金をよく知る代理人に任せているから問題ない
とし、
・本来もらうことのできない助成金は、不正受給・不適正な受給にかかわらず、原則として会社(事業主)へ返還を求める。
・代表者が知らなかったとしても、調査の結果、不正受給と判断されることもある。
・不正受給に該当する場合、労働局ホームページに「事業主名及び代表者名」などを公表する。
としている。
なお、不正受給の場合、返還請求される金額は下記の金額の合計額となる。
・不正発生日を含む判定基礎期間以降の金額
・不正受給額の2割相当額(違約金)
・年3分の延滞金
(参考)第11回「雇用調整助成金」不正受給公表企業 調査
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201190_1527.html