「企業IT利活用動向調査2025」結果を発表

令和7年3月14日、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(以下JIPDEC)と株式会社アイ・ティ・アール(以下ITR)は、「企業IT利活用動向調査2025」の結果を発表した。
 
この調査はJIPDECが調査会社の協力を得て、国内企業の情報セキュリティ対策に重点を置いて行っているIT動向調査で、重視する経営課題、電子契約の利用状況、セキュリティ製品・技術の導入状況等について、業種別・規模別・経年比較を含む分析結果を紹介している。
 
今回の調査は、JIPDECとITRが2025年1月17日から1月24日にかけて実施したもので、ITRの独自パネルに対するWebアンケート形式で実施し、従業員数50名以上の国内企業に勤務しIT戦略策定または情報セキュリティ施策に関わる係長職相当職以上の役職者約1万7,000名に対して回答を呼びかけ、1,110名の有効回答を得たものである(1社1名)。
 
今回の調査結果のポイントは、以下の6点となっており、近年関心の高まっている生成AIの利活用やリスクについての回答も行われている。
 
調査結果のポイント
1.45%の企業が生成AIを利用。電子メールや資料作成など日常業務の利用では80%超が効果を認識
2.生成AI利用のリスクとして、機密情報の漏えいとハルシネーション、倫理的問題を懸念
3.「内向きのDX」では業務のデジタル化で順調に成果が出ているが、企業文化の変革には課題が残り、「外向きのDX」では新しいビジネスの創出に向けた取り組みに遅れがみられる
4.テレワークと出社併用のハイブリッド勤務が主流であるが、最低出社日数を義務付ける企業やテレワーク制度がほとんど活用されていない企業もある
5.ランサムウェア感染経験は48%、メールによる攻撃とリモートアクセスの脆弱性が主な侵入経路
6.プライバシーガバナンスの取り組みは、従業員と顧客の双方のエンゲージメント向上に寄与
 
生成AIの利活用やリスクについては、
生成AIの利用状況
「全社的に利用が推奨され、幅広い業務で利用されている」が15.9%、「必要性の高い特定部門での利用に限定されている」が29.1%となり、合わせて45.0%の企業がすでに生成AIを利用している状況にあった。生成AIを利用している企業を対象に、業務における生成AIの活用効果について質問したところ、「日常業務の効率化」については、45.2%の人が非常に効果は出ている、38.8%の人もある程度効果が出ていると回答があった。
 
生成AIを利用していくうえでのリスク
生成AIを利用していくうえでのリスク(セキュリティやプライバシーに関する不安や懸念点)については、生成AIを全社的に利用している企業では、「社内の機密情報(個人情報含む)が生成AIに入力され、それが外部に漏えいする」が最多の59.9%となっており、生成AIの利用においては多くの企業が情報管理のリスクを強く意識していることが分かった。特に、従業員が無意識のうちに機密情報を入力してしまうケースや、適切なアクセス制御がされていないケースなどで、生成AIを利用することによる情報漏えいなどが懸念されている。
 
(参考)企業の45%が生成AIを利用、日常業務では80%超の企業が利用成果を認識

https://www.jipdec.or.jp/news/pressrelease/20250314.html