金融庁 損害保険会社4社に対する行政処分を公表

金融庁は令和7年3月24日、損害保険会社4社(東京海上日動火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、損害保険ジャパン株式会社、三井住友海上火災保険株式会社)に対し、保険業法に基づく業務改善命令を発出した。
 
この損害保険会社4社には、企業や自治体などとの契約で保険料の事前調整を行うカルテルや談合を繰り返していたとして、令和6年10月31日公正取引委員会による行政処分として合わせて20億円余りの課徴金の納付を命じられており(※1)、また、経済産業省による行政処分として令和6年11月7日に補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置がとられていた(※2)。
 
情報漏えい件数は合計約268万3千件(東京海上日動火災112万4千件、あいおいニッセイ同和損害保険26万2千件、損害保険ジャパン96万5千件、三井住友海上火災保険33万2千件)にものぼり、個人情報保護法だけでなく、不正競争防止法に定める営業秘密も漏えいされ、不適切行為などに該当すると認定された。
 
4社ともこの情報漏えいは、2014年度以前から問題が発覚した2024年度まで継続的に行われており、中には不適切と認識しながら情報共有を行っていたものもあった。
 
業務改善命令の内容は、
1. 業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。
① 個人情報の保護に関する法律及び不正競争防止法等を遵守するための適切な法令等遵守態勢の確立
② 当社(出向者を含む。)及び保険代理店における適切な顧客情報管理態勢の確立
③ ビジネスモデルの特性及び経営戦略の推進等に伴い発生するリスクを検討し、適時に適切な対応策を講じるための経営管理(ガバナンス)態勢の確立
④ 上記①から③にかかる業務改善計画を策定すること。
加えて、保険料調整行為事案において実施した真因分析を踏まえて、相次いで発生した不適切な事案の真因分析を行った上で、以下の事項の抜本的な見直しを実施すること。
・コンプライアンス及び顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成
・乗合代理店に対する社員の出向について適切な管理態勢の構築
・業務改善を着実に実行し、定着を図るための経営管理(ガバナンス)態勢の強化
 
2. 上記1.については、専門的知見を有する外部専門家により業務改善計画の策定及び実施にかかるレビューを受けること。
 
3. 上記1.④により実施した真因分析の結果を踏まえた経営責任の所在の明確化をすること。
 
4. 上記1.2.及び3.に係る業務の改善計画を、令和7年5月30日(金)までに提出し、ただちに実行すること。
 
5. 上記4.の改善計画について、3か月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和7年8月末とする)。
という厳しいものとなっている。
 
(参考)損害保険会社4社に対する行政処分について

https://www.fsa.go.jp/news/r6/hoken/20250324/20250324.html