「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」を公表

国税庁はこのほど、相続税申告書を作成するに当たり誤りやすい項目について事例形式で紹介した「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」をホームページ上に公表した。 事例集には、申告書第1~14表中における誤りやすい事例として14事例を掲載し、それぞれ間違って記載した明細書・計算書等の下に正しく記載した明細書・計算書等を掲載するレイアウトを用いて、分かり易く見やすいものとしている。

事例集には、「被相続人の兄弟姉妹や孫が相続した場合など相続税の2割加算の対象となる場合」や、「被相続人以外の名義の預貯金がある場合」、「所得税の準確定申告をして還付金を受領している場合」、「支給されていなかった年金を受け取った場合」、「お墓の購入費用に係る借入金や未納の固定資産税・住民税がある場合」などのほか、特にトラブルの多い生命保険税務に関する事例も複数盛り込まれており注目度が高い。

生命保険関係において手厚くカバーされているのは、「保険事故が発生していない生命保険契約」だ。親が契約者、子が被保険者というケースや、子が契約者及び被保険者で親が保険料負担者というケースでは、親が死亡しても保険金が支払われないが、解約返戻金等相当額が「生命保険契約に関する権利」として相続財産やみなし相続財産となり相続税の課税対象となる。

しかし、保険金が支払われないことから申告漏れが多く、保険会社から支払調書が提出されないため国税当局による把握も難しかった。この点については、2015年度税制改正で支払調書制度の見直しが行われ、2018年1月以降の契約者変更については支払調書の対象に含まれたことから、当局による把握が可能となる。事例集では、こうしたケースについて本来の相続財産とみなし相続財産を別建てで盛り込んでおり手厚く注意喚起をしている。

「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」は↓
http://www.nta.go.jp/souzoku-tokushu/souzoku-ayamarijireishu/ayamarijirei1-14.pdf