2017-09-15
農林水産省は、2018年度税制改正に向けて、森林環境税(仮称)の創設などを盛り込んだ2018年度税制改正要望を公表している。2017年度与党税制改正大綱を踏まえ、市町村が主体となって実施する条件不利地域の森林の整備等に必要な財源に充てるため、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求めることを基本とする森林環境税(仮称)の創設を恒久措置として求めている。
2017年度与党税制改正大綱(2016年12月8日自由民主党・公明党)においては、「市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、個人住民税均等割の枠組みの活用を含め都市・地方を通じて国民に等しく負担を求めることを基本とする森林環境税(仮称)の創設に向けて、地方公共団体の意見も踏まえながら、具体的な仕組み等について総合的に検討し、2018年度税制改正において結論を得る」とされていた。
森林環境税には、元々、地球温暖化対策としての観点がある。2016年5月に閣議決定された我が国の地球温暖化対策に関する総合計画である「地球温暖化対策計画」では、我が国の地球温暖化対策の目標として、2030年度に26.0%減(2013年度比)の水準、2020年度は3.8%減(2005年度比)以上の水準にすることとされている。森林吸収源については、2030年度に2.0%、2020年度に2.7%以上の確保を目標とするとしている。
このため、森林整備等(間伐、主伐後の確実な再造林、木材利用の拡大等)の森林吸収源対策を今後とも着実に推進し、森林吸収量目標を達成するには、森林整備等の森林吸収源対策を着実に実施していく必要があるが、そのために必要な事業費の全てが確保できておらず、安定的な財源の確保が課題となっている。そこに、森林吸収源対策等に関する安定財源確保の新たな仕組みとして、森林環境税(仮称)を創設する理由がある。
今年8月10日の毎日フォーラムでは、「地球温暖化の影響か、豪雨による土砂災害が毎年のように繰り返されている。その原因の一つが森林機能の低下という。適切な整備を怠れば、森林は荒れ、山の保水力は失われ、土砂崩れや河川の増水などが起きやすくなるというのだ。そこで、今、検討が進むのが森林整備の財源を確保するための『森林環境税』である。年末の税制改正で導入が決まるか注目される」としている。
農水省の税制改正要望は↓
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2018/request/maff/index.htm