2017-09-21
法務省は、2018年度税制改正に向けて、相続登記の促進のため登録免許税を免除する特例措置の創設を要望した。近時、いわゆる所有者不明土地問題が取り沙汰され、相続登記が未了となっている土地の発生については、その要因の一つとして相続登記に係る費用の負担が指摘されている。このため、一定の相続登記に係る登録免許税を免除する特例の創設は、相続登記を促進して所有者不明土地を解消することが狙いとなる。
法務省は、本年6月までに不動産登記簿における相続登記未了土地調査を実施した。具体的には、約10万筆の土地について所有権の登記が受け付けられた年月日を確認し、現在に至るまでの経過年数を調査したところ、最後に所有権の登記がされてから50年以上経過しているものが、大都市においては6.6%、中小都市・中山間地域においては26.6%という結果が明らかとなっている。
また、民間有識者による所有者不明土地問題研究会が同じく本年6月に公表した、所有者不明土地の割合についての全国推計結果によると、所有者不明土地が全国の20.3%を占め、面積にすると九州よりも広い、約410万ヘクタールにのぼるという。相続登記は義務ではなく、費用(登録免許税等)もかかるので、相続時に後回しにされ、そのまま長期間放置されて所有者不明土地問題の要因の一つとなる。
所有者不明土地への対応は、公共事業用地の取得、農地の集約化、森林の適正な管理などにおいて多くの自治体が直面する喫緊の課題となっており、所有者不明土地があると、市町村において事業の中止・中断や対象用地の変更を迫られるなど、土地の利活用の妨げになることもある。そこで、相続登記が未了のまま放置されている土地又は放置されるおそれのある土地について、登録免許税を免除することにより、所有者不明土地問題に対応する。
特例措置の内容は、次の適用要件に係る所有権に関する登記の申請について、登録免許税を免除するというもの。(1)相続発生から30年以上経過している土地に関して当該相続を起因とした登記を申請した場合に、当該所有権についての相続登記にかかる登録免許税を免除、(2)課税標準額が一筆当たり20万円以下の土地に関して相続を起因とした登記を申請した場合に、その登録免許税を免除する。
この件については↓
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2018/request/moj/30y_moj_k.pdf