2017-09-27
金融庁は、2018年度税制改正に向けて、所得税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を5万円(現行4万円)に、また、保険料控除の合計適用限度額を15 万円(同12万円)に拡充すること要望した。少子高齢化の急速な進展等により、社会保障制度の見直しが進められていく中で、国民が安心できる生活保障の水準を確保するために、公的保障とともに私的保障の重要性が高まっている。
このため、国民の自助努力を税制面から支援・促進する生命保険料控除制度を拡充する必要があることが、生命保険料控除の拡充の要望理由だ。そこには、より一層の自助努力が求められる一方で、生命保険の世帯加入率は長期的に低下傾向にあり、1997年の93.0%から2015年は83.1%へと9.9ポイント低下している現状がある。特に世帯主が30 歳未満の若年層においては、加入率が同88.6%から66.3%へと急速にかつ大幅に低下している。
また、生命保険については、「遺族保障」として年間約3兆円の死亡保険金が支払われ、公的保障を補完しているところだが、国民が加入している死亡保険金額は、望ましいと考える死亡保険金額に比べておよそ6割程度となっている。このため、金融庁は今後、若年層を中心に国民全体の私的保障の準備不足が懸念されるところ、国民の自助努力を税制面から支援・促進する生命保険料控除制度を拡充していく措置が必要との考えを示している。
生命保険料控除制度が拡充されれば適用者数が約3819万人に増えるとみている。2015年の生命保険料控除適用者数は、民間給与所得者数4348万人のうち3123万人(71.8%)だが、制度拡充後は3290万人(75.7%)を、また、申告所得者数633万人のうち502万人(79.8%)だが、制度拡充後は529万人(83.6%)をそれぞれ見込んでおり、両者を合計すると、2017年の3625万人から3819万人に増える見込みだ。
金融庁は、民間調査会社によるアンケート調査結果を示し、回答者の約7割が、生命保険料控除制度が拡充された場合には、生命保険への加入もしくは加入を検討したいと回答しており、制度の拡充によって生命保険への加入インセンティブは高まると予想。また、回答者の約7割が生命保険料控除制度の拡充が自助努力の促進につながると考えており、制度拡充は自助努力の喚起を推し進めるものと期待している。
この件については↓
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2018/request/fsa/30y_fsa_k_04.pdf