上半期の消費税転嫁拒否に伴う原状回復額は4億円超

公正取引委員会は、2014年4月の消費税率8%への引上げを踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、消費税の転嫁拒否等行為の未然防止及び転嫁拒否行為への迅速かつ厳正な対処を進めてきたが、このほど、2017年度上半期における消費税転嫁対策の取組状況を公表した。それによると、同上半期において、転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益について、総額4億円を超える原状回復が行われたことが分かった。

2017年度上半期(4月~9月)の取組状況をみると、転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談件数は194件、これらに加えて情報収集活動によって把握した情報を踏まえた立入検査等の調査により、不動産業大手「住友不動産株式会社」と、医療・介護・教育関連企業「株式会社ニチイ学館」の2社に対して買いたたき行為で勧告するとともに、299件の指導を公正取引委員会及び中小企業庁で行っている。

勧告及び指導を行為類型別で分類すると、「買いたたき」が最も多い298件、「減額」が23件、「本体価格での交渉の拒否」が2件。一方、公取委による勧告及び指導の結果、大規模小売事業者等の「特定事業者」の転嫁拒否行為によって特定事業者に継続して商品又は役務を供給する事業者等の「特定供給事業者」が被った不利益について、特定事業者198名から特定供給事業者1万2186名に対し総額4億268万円の原状回復が行われている。

この原状回復額は年々増加しており、消費税率8%への引上げから3年以上経っても依然として転嫁拒否行為が後を絶っていないことがうかがえる。これまで、2014年度から2017年度上半期までの原状回復の状況をみると、累計では、原状回復を行った特定事業者1052名から原状回復を受けた特定供給事業者は10万6476名を数え、原状回復額は総額24億1823万円にのぼっている。

この件については↓
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/oct/171020.files/set171020kouhyoubun.pdf