1人年1000円徴収の「森林環境税」を創設する方針

政府・与党は、市町村の森林整備の財源に充てるため、「森林環境税(仮称)」を2018年度税制改正において創設する方針だ。個人住民税を収める約6200万人を対象に1人当たり年1000円を住民税に上乗せして徴収し、年約620億円を見込む税収を私有林面積などに応じて各市町村や都道府県に配分して、市町村が実施する間伐や森林整備などを担う人材育成などに必要な財源に充てる考えだ。

総務省の森林吸収源対策税制に関する検討会は11月21日に公表した報告書の中で、森林環境税の必要性について、森林は地球温暖化防止や災害防止など多面的な機能を有し、国民一人ひとりに恩恵を与えているが、木材価格の低迷や所有者不明の森林の増加などにより、森林所有者による自発的な施業を促すことを中心とする既存の施策では、適正な森林管理に限界があると指摘。

その上で、政府は、森林現場や所有者に近い市町村の役割を強化する新たな「森林管理システム」の構築を検討中だが、その新たな森林管理システムを契機として、森林の有する公益的機能が十分に発揮されるように、市町村が実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、国民一人ひとりが負担を分かち合って、国民皆で森林を支える仕組みとして、「森林環境税(仮称)」を創設することが必要だと提言している。

森林環境税の導入時期は、2019年10月に予定する消費税率10%への引上げを考慮して、2020年以降とする考えだ。森林環境税の徴収は、現在年間税額5000円の個人住民税の「均等割」に1000円程度を上乗せする案が有力だが、均等割は、東日本大震災後の防災費用に充てるため、すでに1000円が上乗せされている状態になっていることから、現在の上乗せ分が終了する2023年度以降に導入すべきとの意見もある。

一方で、新税創設のためには、国民(納税者)の理解が得られることが不可欠だが、東日本大震災を教訓として各地方団体が実施する防災施策に係る財源確保のための税制上の措置や府県等の超過課税も勘案した上で、さらにはすでに類似の税を独自に導入している自治体もあることなどから、税負担が増す国民の負担感に配慮して、丁寧な説明が求められている。