2017-12-05
国税庁では、納税者からの照会に対して回答した事例等のうち、他の納税者の参考となるものを同庁のホームページに「質疑応答事例」として掲載しているが、11月24日付で更新され、所得税、財産評価、法人税、消費税、印紙税で新たな事例が掲載されている。例えば、所得税では、「相続により取得した減価償却資産の耐用年数」や「家屋が災害により居住できなくなった場合」を新たに掲載した。
照会要旨は、相続により取得した賃貸用の建物を引き続き賃貸の用に供した場合に、この建物の減価償却費の計算における耐用年数は、耐用年数省令3条1項(中古資産の耐用年数等)の中古資産に係る見積もりによる使用可能期間に基づく年数とすることができるかというもの。これに対し、相続により取得したこの建物の耐用年数は、中古資産に係る見積もりによる使用可能期間に基づく年数とすることはできないと回答。
その理由を、所得税法施行令126条2項の規定では、相続等により取得した資産が減価償却資産である場合の取得価額は、その減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなした場合におけるその減価償却資産の取得価額に相当する金額とするとしているためとし、照会の建物については、被相続人から取得価額、耐用年数、経過年数及び未償却残高を引き継いで減価償却費を計算することになると説明している。
また、「家屋が災害により居住できなくなった場合」の照会要旨は、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた家屋が災害により居住できなくなった場合には、この控除を受ける年の12月31日まで住んでいなかったことから、その年分以降は住宅借入金等特別控除の適用は受けられないかというもの。住宅借入金等特別控除の適用を受ける要件として、この控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していることが必要とされている。
これに対し、2016年1月1日以後に、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた従前家屋が災害により居住の用に供することができなくなった場合において、その従前家屋を居住の用に供した日以後10年間(居住日が2001年1月1日~6月30日までの期間内である場合には15年間)の各年について、その従前家屋に係る住宅借入金等の金額を有するときは、2017年分以後に住宅借入金等特別控除の適用を受けることができると回答している。
「相続により取得した減価償却資産の耐用年数」は↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/04/30.htm
「家屋が災害により居住できなくなった場合」は↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/06/65.htm