2017-12-20
2018年度税制改正の柱の一つは個人所得課税の見直しだ。給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替を図る。与党の税制改正大綱は、「様々な形で働く人をあまねく応援するため、特定の収入のみ適用される給与所得控除や公的年金等控除から、どのような所得にでも適用される基礎控除に、負担の比重を移していくことが必要」として、給与所得控除・公的年金等控除を10万円引き下げるとともに、基礎控除を同額引き上げるとした。
具体的には、給与所得控除については、上限額が適用される給与等の収入金額を850万円(現行:1000万円)、その上限額を195万円(現行:220万円)に引き下げる。ただし、子育てや介護に対して配慮する観点から、22歳以下の扶養親族が同一生計内にいる者や特別障害者控除の対象となる扶養親族等が同一生計内にいる者については、負担増が生じないような措置を講じる。
公的年金等控除については、収入が増加しても控除額に上限がなく、高所得の年金所得者に手厚い仕組みとなっていると指摘。世代内・世代間の公平性を確保する観点から、公的年金等収入が1000万円を超える場合、控除額に上限(見直し後の上限額195.5万円)を設ける。また、公的年金等収入以外の所得金額が1000万円を超える場合には控除額を10万円引き下げ、2000万円を超える場合には控除額を20万円引き下げる。
一方で、誰にでも適用される基礎控除については、控除額を一律10万円引き上げる。ただし、合計所得金額が2400万円を超える場合には、その合計所得金額に応じて控除額が逓減し、2500万円を超える場合には基礎控除はゼロとなる。この結果、基礎控除は、合計所得金額が2400万円以下の場合は48万円、同2400万円を超え2450万円以下の場合は32万円、同2450万円を超え2500万円以下の場合は16万円となる。
これらの見直しの結果、増税となるのは給与所得者の4%に当たる約230万人の年収850万円を超える会社員等で、増税額は9000億円になる見込み。年収850万円以下の会社員等は増税にも減税にもならないが、特定の企業に属さないフリーランスや在宅で仕事を請け負う人の多くは、国税・地方税ともに基礎控除が増えるため減税となる。これらの改正は、2020年分以後の所得税及び2021年分以後の個人住民税について適用される。