生産性向上を図る「情報連携投資等促進税制」の創設

2018年度税制改正において、「生産性の向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の制定を前提に、「情報連携投資等の促進に係る税制」が創設される。同法の革新的データ産業活用計画(仮称)の認定を受けた青色申告法人が、同法の施行の日から2021年3月31日までの間に、その革新的データ産業活用計画に従ってソフトウエアを新設又は増設した場合で一定の場合において、特別償却又は税額控除が選択適用できる。

具体的には、情報連携利活用設備の取得等をして、その事業の用に供したときは、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の5%(一定の賃上げ要件を満たさない場合には、3%)の税額控除との選択適用ができる。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%(同15%)を上限とする(所得税も同様)。賃上げ要件は、当期の平均給与等支給額が前期の平均給与等支給額の103%であること。

上記の「一定の場合」とは、その新設又は増設をしたソフトウエアの取得価額の合計額が5000万円以上の場合に限られる。そのソフトウエアとともに取得又は製作をした機械装置又は器具備品がある場合には、これらの取得価額の合計額を含めて判定する。また、上記の「情報連携利活用設備」とは、上記のソフトウエア、機械装置及び器具備品をいい、開発研究用資産は除かれる。

機械装置は、データ連携・利活用の対象となるデータの継続的かつ自動的な収集を行うもの又はデータ連携・利活用による分析を踏まえた生産活動に対する継続的な指示を受けるものに限られる。なお、上記の「データ連携・利活用」とは、革新的データ産業活用計画に基づく革新的事業活動による生産性の向上の実現のための臨時措置法の革新的データ産業活用(仮称)のうち次の要件を満たすものをいう。

それは、(1)他の法人若しくは個人が収集若しくは保有をするデータ又は自らがセンサーを利用して新たに取得するデータを、既存の内部データとあわせて連携し、利活用すること、(2)同一の企業グループに属する異なる法人間又は同一の法人の異なる事業所間において、漏えい又は毀損をした場合に競争上不利益が生ずるおそれのあるデータを、外部ネットワークを通じて連携し、利活用すること、のいずれかに該当すること。

また、(3)上記(1)の各データ又は上記(2)の各データの継続的かつ自動的な収集及び一体的な管理、(4)上記(1)の各データ又は上記(2)の各データ同士の継続的な連携及び分析、(5)上記(4)の分析を踏まえた生産活動に対する継続的な指示、の全てが行われること。さらに、上記(3)から(5)までを行うシステムのセキュリティの確保等につきセキュリティの専門家が確認をするものであることその他の要件を満たすこと、とされている。