年1000円の「森林環境税」の創設、2024年度から課税

市町村が必要な森林整備の財源に充てるため、国税として「森林環境税(仮称)」及び「森林環境譲与税(仮称)」が2018年度税制改正において創設される。森林環境税は、個人住民税を収める約6200万人を対象に1人当たり年1000円を住民税に上乗せして徴収し、年約620億円を見込む税収を私有林面積などに応じて各市町村や都道府県に配分して、市町村が実施する間伐や森林整備などを担う人材育成などの必要な財源に充てる考えだ。

森林環境税(仮称)の導入時期は、2019年10月に予定されている消費税率10%への引上げや、各地方公共団体が行う東日本大震災後の防災施策に係る費用に充てるための個人住民税均等割の1000円上乗せが2023年度まで行われることなどを考慮して、2024年度からとする。また、同税の徴収は、現在年間税額5000円を負担している個人住民税の「均等割」に1000円を上乗せする。

一方で、森林現場における諸課題にはできる限り早期に対応する必要があり、新たな森林管理制度の施行とあわせ、森林環境譲与税(仮称)の譲与は2019年度から行う。2023年度までの間における譲与財源は、暫定的に交付税及び譲与税配付金特別会計における借入により対応する。市町村の体制整備に伴い、徐々に増加するように譲渡額を設定しつつ、借入金は、後年度の森林環境税(仮称)の税収の一部をもって確実に償還する。

総務省の森林吸収源対策税制に関する検討会は、昨年11月に公表した報告書の中で、森林環境税の必要性について、森林は地球温暖化防止や山崩れ等の災害防止など多面的な機能を有し、国民一人ひとりに恩恵を与えているが、木材価格の低迷や所有者不明の森林の増加などにより、森林所有者による自発的な施業を促すことを中心とする既存の施策では、適正な森林管理に限界があると指摘した。

その上で、政府は、森林現場や所有者に近い市町村の役割を強化する新たな「森林管理システム」を構築し、その新たな森林管理システムを契機として、森林の有する公益的機能が十分に発揮されるように、市町村が実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、国民一人ひとりが負担を分かち合って、国民皆で森林を支える仕組みとして、「森林環境税(仮称)」を創設することが必要だと提言している。