株式の取得費が分からない場合の確認方法は?

株式市場が好調だ。日経平均株価は、1月24日には1991年11月以来26年2ヵ月ぶりに2万4000円台に乗せた。個人投資家の株式売買も活発化しており、なかには相続などで取得して長期間保有していた株式を売ったというケースも少なくない。年末調整で所得税の納税が完了している給与所得者でも、給与所得等以外の所得が、「一般口座」や「源泉徴収なしの特定口座」の譲渡益を含めて20万円以上の場合等は確定申告が必要となる。

株式を売却した場合の所得金額は「譲渡価額-(取得費+委託手数料等)」で計算するが、悩むのは取得費である。所有期間が長いほど実際の取得費が分からなくなっていることは多い。取得費(取得価額)は、株式等を取得したときに支払った払込代金や購入代金だが、購入手数料(購入手数料に係る消費税も含まれる)のほか購入時の名義書換料などその株式等を取得するために要した費用も含まれる。

譲渡した株式等が相続したものであるとか、購入した時期が古いなどのため取得費が分からない場合には、同一銘柄の株式等ごとに、取得費の額を売却代金の5%相当額とすることも認められる。実際の取得費が売却代金の5%相当額を下回る場合にも、同様に認められる。例えば、ある銘柄の株式等を300万円で譲渡した場合に取得費が不明なときは、売却代金の5%相当額である15万円を取得費とすることができる。

それでもあきらめきれない場合は国税当局が認めた実際の取得費を確認する合理的な方法がある。それは、 (1)証券会社などの金融商品取引業者等から送られてくる取引報告書等、(2)取引した金融商品取引業者等の顧客勘定元帳(商法上10年の保存義務がある)、(3)日記帳や預金通帳などでの本人の手控え、などで確認する方法だ。これらがなければ、名義書換日を調べて取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得価額を算定する方法もある。

なお、相続(限定承認に係るものを除く)、遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)又は贈与により取得した場合は、被相続人、遺贈者又は贈与者の取得費を引き継ぐ。また、相続で取得した上場株式を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合は、相続税額の一部を譲渡資産の取得費に加算することができる「取得費加算の特例」がある。