青色申告特別控除を55万円(現行65万円)に引下げ

青色申告者に対しては種々の特典があるが、その一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除がある。この控除額65万円の適用を受けるためには、取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳することが必要になっている。2018年度税制改正法案には、この青色申告特別控除の控除額65万円を55万円に引き下げることが盛り込まれている。

ただし、下記の要件のいずれかを満たす場合には、現行と同じ控除額65万円の青色申告特別控除の適用を受けることができる。それは、(1)その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存法に定めるところにより電磁的記録の備付け及び保存を行っていること、(2)その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行うこと。

つまり、今回の見直しには、電子申告・電子納税の普及を図ることが狙いにある。紙媒体での保存や申告では青色申告特別控除の控除額が小さくなってしまう。一方で、控除額10万円の規定については変わらない。今回の改正は、控除額65万円に関するものだから、簡易簿記や現金主義等の場合の控除額10万円の規定は現行と同じままになる。この改正は、2020年分以降の所得税及び2021年度分住民税から適用となる予定だ。

なお、現行の65万円の青色申告特別控除を受けるための要件には、上記の取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳することのほかに、不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること、正規の簿記の原則による記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること、がある。