2019年10月から地方税に共通電子納税システムを導入

2018年度税制改正においては、納税環境整備の一環として、複数の自治体への地方税の納税を一度の手続きで行えるようにするため、2019年10月から共通電子納税システム(共同収納)が導入される。同時に、eLTAXの安全かつ安定的な運営のため、現在のeLTAXの運営主体である一般社団法人地方税電子化協議会が、2019年4月から「地方税共同機構(仮称)」に取って代わり、共通電子納税システムの収納事務を担う。

2018年度税制大綱によると、「一定の地方税について、納税義務者等がeLTAX(地方税のオンライン手続きのためのシステム)の運営主体が運営する共通電子納税システムを利用して納付又は納入を行う場合、その収納の事務については、eLTAXの運営主体及び金融機関に行わせるものとし、これらの税は金融機関からeLTAXの運営主体を経由して地方公共団体に払い込まれるものとする」としている。

共通電子納税システムの対象税目は、2019年10月1日時点においては、個人住民税(給与所得又は退職所得に係る特別徴収分)、法人住民税、法人事業税及び事業所税(これらの税と併せて納付又は納入することとされている税を含む)とし、実務上対応が可能となった段階で順次、税目の拡大を措置するとしている。この改正は、eLTAXの次の更改時期である2019年10月1日に合わせて運用を開始する。

現状では、企業から地方税を電子納税しようとしても、受入れ側の自治体が電子納税システムを備えていなければ電子納税を行えなかった。この不都合を解消するのが共通電子納税システムの導入だ。特に、個人住民税の特別徴収について、現状では、企業から複数の自治体に個別に納税しなければならないが、2019年10月以降は、共通電子納税システムを介することで一度の手続きで納税が可能になり、企業の事務負担は大きく軽減される。

なお、地方税電子化協議会に取って代わる「地方税共同機構(仮称)」は、地方税法に設置根拠・組織運営が規定される法人で、都道府県知事、市長、町村長からなる全国的連合組織(「地方三団体」)が選任する設立委員が、総務大臣の許可を得て設立することになっている。同機構は、共同収納、eLTAXの設置・管理等に関する税務情報等処理事務を行うほか、地方税に関する調査研究や広報など地方公共団体への支援等を行う。