国税不服審判所が2017年7月から9月分の裁決事例を公表

国税不服審判所はこのほど、2017年7月から9月分の裁決事例を同所HP上にある「公表裁決事例要旨」及び「公表裁決事例」に追加し公表した。今回公表された裁決事例は、12事例(国税通則法関係4件、所得税法関係2件、法人税法関係3件、消費税法関係2件、国税徴収法関係1件)となっており、裁決の半数の6事例で納税者の主張が何らかの形で認められており、実務家にとっても参考となろう。

このうち、国税通則法関係では、請求人が行った期限後申告書の提出は、調査の内容・進捗状況、それに関する請求人の認識、期限後申告に至る経緯、期限後申告と調査の内容との関連性の事情を総合考慮して判断した結果、国税通則法第66条《無申告加算税》第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことに該当するとして、所得税等に係る無申告加算税を全部又は一部を取り消したものがある。

同じく、国税通則法関係で、当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例がある。これは、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その他、請求人の上記意図を認めるに足りる証拠はないとして、消費税等に係る重加算税の賦課要件を満たさないと判断したものである。

法人税法関係では、代表取締役が代表権のない取締役に分掌変更したことに伴って請求人が支給した金員について、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえず、法人税法上の損金算入することができる退職給与に該当しないとした事例がある。同事例は、当該取締役は、分掌変更により、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえないとしたもので、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を棄却している。

消費税法関係では、請求人が行った商品券の販売は物品切手の譲渡に該当し、非課税取引に該当するとした事例がある。同事例は、請求人は、発行を受けた商品券の同一性を保持しつつ、顧客へ販売しているから、当該商品券の販売は、消費税法別表第一第4号ハに規定する物品切手に該当し、当該取引は非課税取引であるとしたもので、消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分を一部取り消している。

この件については↓
http://www.kfs.go.jp/service/JP/idx/108.html