2018年度税制改正法案が3月28日に参院で成立

2018年度税制改正法案である所得税法等一部改正法案と地方税法等一部改正法案は3月28日の参院本会議で可決・成立した。施行は4月1日。出国する際に千円を徴収する国際観光旅客税を定めた国際観光旅客税法案は参院で審議中。2018年度税制改正では、働き方の多様化等を踏まえ、個人所得課税の見直しを行うとともに、デフレ脱却と経済再生に向け、賃上げ・生産向上のための税制上の措置を講じ、さらに、事業承継税制の拡充等を行う。

個人所得課税は、給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除へ振り替える。特定の収入にのみ適用される給与所得控除・公的年金等控除をそれぞれ10万円引き下げる一方、どのような所得にも適用される基礎控除を同額引き上げる。65万円が適用される青色申告特別控除も10万円引き下げ55万円になるが、電子申告等を行っている場合は現行の控除額が維持される。これらの改正は2020年分以後の所得税から適用される。

法人課税は、所得拡大促進税制を改組し、「継続雇用者給与等支給額が対前年度3%以上増加」及び「国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上」の要件を満たす場合等に、給与等支給増加額について税額控除する。情報連携投資等の促進に係る税制を創設する。一方で、租税特別措置の適用要件を見直し、賃金引上げや設備投資について一定の要件を満たさない大企業については、研究開発税制その他の一定の税額控除の適用を停止する。

資産課税では、中小企業の代替わりを促進する事業承継税制を拡充する。2018年1月から10年間の贈与・相続に対する特例として、(1)猶予対象の株式の制限(総株式数の2/3)の撤廃、(2)納税猶予割合の引上げ(80%⇒100%)、(3)雇用確保要件の弾力化、(4)複数(最大3名)の後継者に対する贈与・相続への対象の拡大、(5)経営環境の変化に対応した減免制度の創設、などの措置を講ずる。

そのほか、国際課税では、恒久的施設関連規定を見直す(租税回避防止等のため、恒久的施設(PE)の範囲を見直し)。納税環境整備では、大法人の法人税等の電子申告の義務化や、生命保険料控除等に係る年末調整関係書類の提出について電磁的方法による提供を追加する。たばこ税は、税率を1本当たり0.5円ずつ3段階で合計1.5円(国・地方合計3円)引き上げ、加熱式たばこの課税区分の新設及び課税方式を見直す。