国際観光旅客税法案が4月11日の参院本会議で成立

訪日外国人旅行客が出国する際や日本人が旅行や出張で出国する際などに、1人当たり出国1回につき1000円を徴収する国際観光旅客税を定めた国際観光旅客税法案が4月10日の参院財政金融委員会で可決、翌11日の参院本会議で可決・成立した。来年1月7日以後の出国から適用される。ただし、経過措置として1月7日前に締結された運送契約による国際旅客運送事業に係る一定の出国は課税から除外される。

国際観光旅客税の課税対象は、航空機や船舶等による我が国からの出国者だが、出国したものの悪天候等の理由により外国に寄港せずに戻ってきた場合は課税の対象としない。また、我が国を経由して外国に行く旅客のうち入国後24時間以内に出国する乗継旅客、2歳未満の子、政府首脳の外遊など公用機又は公用船(政府専用機等)により出国する者等は非課税とされる。

2019年1月7日以後の出国に適用する国際観光旅客税だが、例えば、航空機を利用する場合はチケット料金に上乗せして徴収することから、国内の旅行代理店等の国際運送事業者が国際観光旅客等から特別徴収し、翌々月末日までに国に納付する。また、国外運送事業者の特別徴収や国際観光旅客等の納付の場合は、原則として出国する空港や港において乗船等するときまでに国に納付しなければならない。

国際観光旅客税の税収は、初年度60億円、平年度430億円の税収を見込む。税の使途を定めた改正国際観光振興法は10日の衆院本会議で成立しているが、同法では新たな税の使い道を、(1)ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、(2)わが国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、(3)地域固有の文化・自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度の向上、の3分野に指定している。

具体的な施策・事業については、初年度総額60億円を見込む歳入について、(1)では、最新技術を活用した顔認証ゲートや税関検査場電子化ゲートの整備等によるCIQ(訪日外国人旅客の出入国手続きの総称)体制の整備に20億円、ICT等を活用した多言語対応等に11億円、(2)では、JNTO(日本政府観光局)サイト等を活用したデジタルマーケティングに13億円などを、それぞれ充てるという。