戸籍法改正、マイナンバー導入で戸籍証明書が不要に

法務省は、マイナンバーの利用範囲に含まれていない戸籍事務にマイナンバー制度を導入するため戸籍法を改正する。改正後は、マイナンバーを提示することで、戸籍証明書が不要になる。この4月20日に法制審議会戸籍法部会がまとめていた戸籍法改正の中間試案を公表し、5月11日から6月11日まで意見を募集している。今後、寄せられた意見を検討し、来年の通常国会への法案提出を目指す。

本年5月1日現在、全国1896の市区町村のうち、1892の市区町村で戸籍事務の電算化が完了しているものの、戸籍情報システムはそれぞれ異なるため、市区町村間のネットワーク化はされていない。一方、戸籍謄本や戸籍抄本等の戸籍証明書の交付は、住所地ではなく戸籍の正本を管理する本籍地の市区町村のみでしかできないので、戸籍の届出(出生・死亡・婚姻)などで戸籍証明書が必要な利用者は本籍地の市区町村で取得しなければならない。

そこで、法務省が電算化された戸籍の副本を管理していることから、この戸籍情報とマイナンバーを紐付けし、「戸籍情報連携システム」としてネットワーク化。これにより、戸籍証明書が不要になる。例えば、本籍地以外の市区町村での戸籍の届出や、他の行政機関での児童扶養手当事務、年金事務、旅券事務等で活用され、利用者が戸籍証明書を届出窓口に提出せずに、マイナンバー提示でネットワークを通じて戸籍情報の確認が可能になる。

中間試案では、市区町村の届出事務従事職員は、届出受理の際の審査に当たって、戸籍情報を確認する必要がある場合には、戸籍情報連携システムの情報を参照することができることを新設する。職員による不正な参照を防止するため、個人の戸籍情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならないとする規定を設けるとともに、漏えい防止義務を設けた上で、違反があった場合には、罰則規定の適用対象とする等の規定を設ける。

また、紙の戸籍を原則とした規定を、電算化戸籍を原則とする規定ぶりに変更する。ただし、4市町村が未電算化であることから、紙の戸籍も例外として残す。なお、マイナンバー法(2015年10月施行、2016年1月から運用開始)の附則では、施行後3年を目途に必要に応じて制度を見直すとの規定が置かれている。利便性や行政事務の効率化などから戸籍事務もマイナンバー制度の対象に加えることが求められていた。

戸籍法の改正に関する中間試案は↓
http://www.moj.go.jp/content/001258092.pdf