会社主催の海水浴費用、家族同伴も損金算入できる?

暑い夏の定番は海水浴。家族のリクエストに応えて夏休みに海水浴に行くサラリーマンも少なくない。企業によっては、夏休みを利用して従業員や家族を泊りがけで海水浴に招待したり、会社が「海の家」と契約して、従業員や家族が一般の利用料金よりも低料金で利用できるようにするところもある。こうしたケースで企業が支出する費用は、常識的な範囲内の負担であれば原則、福利厚生費として処理することができる。

ただ、疑問が生じるのは、従業員の家族分の負担も福利厚生費に含めることができるのかということだ。家族同伴のレクリエーションとしては社内運動会などが代表的だが、運動会は宿泊を伴わない。宿泊を伴う社員慰安旅行では通常、家族分の費用負担は認められていない。しかし、一般的には海水浴といえば家族同伴であることから、税務上も、家族分の費用も含めて、福利厚生費として処理することを認めているようだ。

一方、「海の家」と契約して会社が補助するケースでも、補助方法によっては、問題が生じるおそれがある。例えば、従業員への補助分を現金で支給したり、従業員が利用した後で、その料金等を請求させて精算する方法をとると、給与課税となる公算が強い。こうした場合は、契約した「海の家」にあらかじめ利用料金を補助する形にして、補助費用が海の家の利用料金に確実に使われていることを明確にしておくほうが無難だ。

もちろん、会社が負担する費用を福利厚生費として処理するためには、その費用が常識的な範囲内のものであることはいうまでもない。泊りがけの海水浴旅行が、民宿や一般旅館を利用するような一般的なものでなく、超一流ホテルに長期滞在するものであったり、一部の幹部社員や役員のみを対象とするものであれば、給与課税や認定賞与の問題が生じる可能性が大きいので要注意といえよう。