2018-08-09
国税庁が7日に公表した2017年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が1999年度以降19年連続で減少したことが明らかになった。新規発生滞納額は前年度に比べ1.1%減の6155億円と2年連続で減少した上、整理済額が6595億円(前年度比6.1%減)と新規発生滞納額を大きく上回ったため、今年3月末時点での滞納残高も4.9%減の8531億円と19年連続で減少した。
今年3月までの1年間(2017年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約33%まで減少。また、2017年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額(60兆8203億円))は1.0%となり、2004年度以降、14年連続で2%を下回って、国税庁発足以来、最も低い割合となっている。この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約30%まで減少した。
税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比3.3%減の3633億円と2年連続で減少したが、税目別では13年連続で最多、全体の約60%を占める。一方で、整理済額が3706億円と上回ったため、滞納残高は2.3%減の3028億円と、18年連続で減少した。法人税は、新規発生滞納額が同7.0%増の653億円と4年ぶりに増加したが、整理済額が721億円と上回ったため、滞納残高も6.9%減の913億円と10年連続で減少した。
国税庁は、(1)新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」での整理、(2)処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となって訴訟を提起して整理、(3)財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理することで、効果的・効率的に処理している。
近年は景気回復により税収は増えているものの、こうした新規滞納の未然防止、大口・悪質事案や処理困難事案を中心に厳正・的確な滞納整理を実施したことで、今年3月末時点での全税目合計の滞納残高は、前年度を4.9%下回る8531億円となり、19年連続で減少したわけだ。滞納残高は、2015年度に1986年度(8778億円)以来29年ぶりに1兆円を下回ったが、2017年度も引き続き順調に滞納残高を減らしている。
同租税滞納状況の詳細は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/sozei_taino/sozei_taino.pdf