2018-09-10
金融庁は、2018年度税制改正に向けて、NISA制度の恒久化や相続した株式の譲渡における相続税(株式分)の取扱いに関する見直し、生命保険料控除制度の拡充、教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の恒久化及び拡充などを盛り込んだ要望書を明らかにした。NISA制度(一般・ジュニア・つみたて)については、家計の安定的な資産形成を継続的に後押しする観点から、恒久措置とすることを求めている。
相続した株式の譲渡における相続税の取扱いについては、相続人が、相続した上場株式等を売却する場合、その売却が3年以内ならば、その株式に係る相続税分を譲渡所得から差し引くことが可能だが、3年以内に売却しなければ、その相続税分は全く考慮されないことから、相続後、3年以内の株式売却を助長しているとの指摘がある。そこで、売却期間に関する制限を撤廃し、相続後の株式売却を助長しないよう要望した。
教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、同特例は、2015年4月の導入以来、口座数・設定額ともに順調に推移しているが、世代間の資産移転をさらに後押しするため、2019年3月末までの時限措置とされている同特例を恒久措置とすることや、教育資金の交付請求時における領収書の提出要件の緩和(1万円以下を3万円以下まで引上げ)など、事務手続きの簡素化等を図ることを求めた。
生命保険料控除制度については、国民の自助・自立のための環境整備の観点から、社会保障制度の見直しに応じて、同制度を拡充していくことが必要として、所得税法上及び地方税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を5万円及び3.5万円(現行:2012年1月からの契約は4万円及び2.8万円)とすること、また、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を15万円(同12万円)とすることを要望した。
そのほか、金融グローバル化への対応として、外国子会社合算税制では、実質的に現地で事業(保険)を営んでおり、租税回避目的がないにもかかわらず、未だ措置の対象にならない場合があり、早期是正を望む声がある。そこで、本邦金融機関等の外国子会社等の所得が、租税回避目的がないにもかかわらず、合算課税を受けないよう、ビジネスの実態を踏まえた所要の措置を講じることなどを要望に盛り込んでいる。
金融庁の税制改正要望は↓
https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/180831.pdf