2018-09-20
東京商工会議所はこのほど2019年度税制改正に関する意見を発表し、中小企業の成長を後押しする観点からの設備投資減税(中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制)の延長・拡充、研究開発税制の延長・拡充、中小法人の軽減税率の延長、消費税率引上げに向けた経済環境の整備及び円滑な価格転嫁の実現のほか、事業承継の円滑化に向けた税制措置等を主張した。
消費税率引上げ、軽減税率導入に向けた課題として、需要変動の平準化対策を講じるに際しては、中小企業の円滑な価格転嫁との両立が大前提であることや、「消費税は価格に転嫁されるもの」であることを消費者や事業者へ強力な広報の展開とあわせて、消費税転嫁対策特別措置法に基づく実効性の高い転嫁対策を推進すること、「消費税還元セールの解禁」等、転嫁対策を後退させる消費税転嫁対策特別措置法の改正は不要なことを掲げた。
また、総額表示は、消費者に対して値上げした印象を強く与え、消費税の転嫁が困難になるケースがあることなどから、外税表示を恒久化し、事業者が自社にあった価格表示を選択できるよう要望。そのほか、軽減税率制度の導入はゼロベースで見直すことや、インボイス制度は廃止を含め、慎重に検討すること、混乱なく軽減税率制度を導入するため、まずは国による徹底的な広報により事業者の準備を促す等、早急な対応を求めた。
事業承継の円滑化に向けては、個人事業主の事業承継に対する支援措置として、青色申告を選択し、個人資産と事業用資産を区分している個人事業者を対象に、民法上の特例措置(遺留分減殺請求リスクの軽減等)や、事業用の建物等の贈与税・相続税の軽減措置を検討すること、分散した株式の集約促進のため、同族判定の範囲(6親等内の血族(はとこ)、3親等内の姻族(配偶者の甥・姪))の縮小などを要望した。
さらに、事業承継税制の改善として、都道府県・税務署への提出書類の簡素化、書類提出の不備等に対する宥恕規定の明確化や、一般事業承継税制を利用して自社株式を生前贈与した場合、相続発生時に追加で税負担が生じることから、特例事業承継税制への切替えを認めること、特例事業承継税制の適用対象拡大を踏まえた承継円滑化法に基づく民法特例措置(自社株等についての遺留分に関する合意)の対象の見直しなどを挙げている。
東商の2019年度税制改正に関する意見は↓
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1007423