2018-11-29
高齢化の進展等の社会経済情勢の変化に対応し、残された配偶者の生活に配慮する等の観点から、1980年(昭和55年)以来約40年ぶりに相続に関する規律を見直した改正民法(相続法)の施行日を定めた「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が21日に閣議決定され、原則的な施行期日は2019年7月1日とされた。一部の規定は施行期日が異なり、段階的に施行される。
7月6日に参議院本会議で成立した同法は、改正法の施行期日については「原則として公布の日から1年を超えない範囲内において政令で定める日」とされていた。主な制度の施行日をみると、相続された預貯金債権について、遺産分割前にも預貯金の払戻しが受けられる制度の創設や、遺留分制度の見直し、相続の効力等に関する見直し等に関しては、原則的な施行日である2019年7月1日となる。
また、遺言制度に関して、全文の自書を要求している現行の自筆証書遺言の方式を緩和し、自筆証書遺言に添付する財産目録についてはパソコンで作成するなど自書でなくてもよいとする見直しは、一足早い2019年1月13日とされている。そのほか、配偶者の居住建物を対象として終身又は一定期間、配偶者にその使用を認める新たな権利「配偶者居住権」や配偶者短期居住権の施行日は2020年4月1日となっている。
なお、相続された預貯金債権の遺産分割前の預貯金の払戻し制度において、単独で払戻しが受けられる金融機関ごとの上限額については、パブリックコメントをしていた省令案通り、1500万円とする省令も同日に公布されている。法務省では、施行期日が制度により違うこともあり、それぞれの規定の施行に向け十分な周知活動を行っていくことを予定している。