仮想通貨の所得計算、「年間取引報告書」で簡便に

国税庁では、仮想通貨取引に関する所得について、納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備を図るため、本年4月以降、「仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会」を開催してきた。このほど、同研究会での議論の結果を踏まえ、簡便に所得計算できる様式や方法、相続時の仮想通貨の評価方法などに加え、研究会以外で国税当局に問合せ等のあった事項をまとめた「仮想通貨関係FAQ」を公表した。

仮想通貨取引により生じた利益は、原則、雑所得に該当し、確定申告が必要だが、納税者は、申告しようにも、仮想通貨の年間の売却金額等を記録しておらず、所得計算が困難なケースが多かった。そこで、今回のFAQでは、正確な所得計算が簡便にできるよう、仮想通貨の年間の売却金額や購入金額等が記載された「年間取引報告書」などが仮想通貨交換業者から顧客(納税者)へ提供されることが示された。

「年間取引報告書」は、来年1月までに各仮想通貨交換業者から提供される予定となっている。また、併せて、納税者が年間取引報告書の内容等に基づき入力することにより、申告に必要な所得金額等が自動計算される「仮想通貨の計算書」を国税庁ホームページで公開する。FAQでは、説例を用いて「年間取引報告書」と「仮想通貨の計算書」による仮想通貨の計算例を紹介している。

相続税・贈与税関係では、仮想通貨を相続・贈与等で取得した場合には課税対象となるが、その評価方法は、評価通達に定めがないことから、評価通達5「評価方法の定めのない財産の評価」に基づき評価する。この場合、活発な市場が存在する仮想通貨については、一定の相場が成立し、客観的な交換価値が明らかであるため、外国通貨に準じて、仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価するとしている。

国税庁では、上記の施策について、各仮想通貨関連団体を通じて各交換業者や利用者へ周知するなどして、納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備を図り、周知・広報を行うとともに、様々な機会を捉えて課税上有効な資料収集に努め、申告のなかった納税者も含め、課税上問題があると認められる場合には、様々な方法で是正を促すなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて積極的に取り組んでいく方針だ。

この件については↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/faq/index.htm