2018-12-19
無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすことになるため、的確かつ厳格な対応が求められる。無申告者は、その存在自体の把握が難しいことから、国税当局は、有効な資料情報の収集や活用を図り、的確な課税処理に努めている。国税庁が今年6月までの1年間(2017事務年度)に実施した高額・悪質と見込まれた無申告者に対する実地調査は7779件(前事務年度7612件)行われた。
実地調査の結果、申告漏れ所得金額の総額は1662億円(前事務年度1406億円)把握。追徴税額は、総額で207億円(同146億円)、1件当たりでは267万円(同192万円)だった。2017事務年度は実地調査(特別・一般)全体が4万9735件行われているから、全体の約16%が無申告者に対する調査に充てられ、実地調査(同)全体の申告漏れ所得金額5080億円の約33%が無申告者に係るものだったことになる。
1件当たりの申告漏れ所得金額は2136万円となり、前事務年度の1847万円から15.6%増加し、実地調査(特別・一般)全体の1件当たり申告漏れ所得金額1021万円の約2倍と高額だ。前事務年度に比べ調査件数は2.2%増加している。こうした調査結果からいえることは、結構高額な所得がありながら、国税当局にはばれまいと高をくくって申告しない納税者がいかに多いかということだろう。
また、消費税の無申告者に対しては、2017事務年度において実地調査(特別・一般)9400件(前事務年度8816件)が行われた結果、追徴税額は155億円、1件当たりでは165万円だった。2017事務年度の消費税に係る実地調査(同)全体は2万8415件行われているから、全体の約33%が無申告者に対する調査に充てられ、消費税の実地調査(同)全体の追徴税額250億円の約66%が無申告者に係るものだったことになる。
調査事例では、会社員が副業で行っていたアフィリエイトによる所得が無申告だったものがある。会社員Aは、勤務する傍ら、副業として自身のHPに企業広告などを掲載してアフィリエイト収入を得ていたが、勤務先に副業が見つかると給与等が減額される恐れがあることから申告していなかった。Aに対しては、所得税6年分の申告漏れ所得金額約5300万円について、重加算税込みの約800万円の追徴税額が課されている。