2019-02-08
財務省が今通常国会に提出した「租税特別措置の適用実態調査結果報告書」によると、2017年度(2017年4月~18年3月)に終了した事業年度又は連結事業年度において、適用額明細書の提出があった法人数は123.1法人(2016年度118.3法人)で前年度から4.1%増加、適用件数は法人税関係の租税特別措置85項目(同82項目)について延べ192.3万件(同183.3万件)と4.9%増加していることが分かった。
租税特別措置の種類ごとにみると、中小企業へ軽減税率(資本金1億円以下の中小企業には年800万円以下の所得に特例で15%(本則の軽減税率は19%)の税率)を適用する「法人税率の特例」(2措置)は、適用件数が93.2万件(2016年度比4.3万件増)、適用額が3兆6574億円(同2162億円増)と大きく増えている。これは、景気回復によって法人税を支払う黒字企業が増加したためとみられている。
また、「税額控除」(16措置)は、適用件数が17.6万件(2016年度比1.4万件増)、適用額が1兆944億円(同463億円増)だった。適用額の主な内訳は、2015年度から適用要件を緩和した「所得拡大促進税制」が3849億円(同665億円増)、「研究開発税制」が6660億円(同734億円増)と増加したが、「生産性向上設備投資促進税制(一部)」が57億円(同▲914億円減)と大きく減少した。
「特別償却」(28措置)は、適用件数が5.8万件(2016年度比▲1.0万件減)、適用額が1兆1684億円(同▲6185億円減)。適用額の主な内訳は、「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却」は4194億円(同▲1777億円減)、「生産性向上設備投資促進税制(一部)」が2006億円(同▲6931億円減)とともに減少。また、「準備金等」(15措置)は、適用件数が1.3万件(同▲0.05万件減)、適用額が8959億円(同747億円増)だった。
なお、適用数の実績が想定外に少ない租税特別措置等は、必要性や将来見込みの検証を徹底する必要があることから、税制改正プロセスでは、総務省による政策評価の点検結果や、財務省の適用実態調査の結果を活用して、租税特別措置の必要性や政策効果を検証している。2019年度税制改正においても、期限が到来する法人税関係租税特別措置について、廃止又は縮減を伴う見直しを行う予定とされている。
同報告書の概要は↓
https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/stm_report/fy2018/gaiyou.pdf