ストックオプション税制の適用対象者を社外にも拡大

2019年度税制改正において、ストックオプション税制の適用対象者が拡大される。ベンチャー企業が、兼業・副業等の多様な働き方で活躍する国内外の高度・専門人材を円滑に獲得できるよう、同制度の付与対象者を現行の取締役・執行役・使用人から、社外からでも企業に貢献する高度人材(外部協力者)にまで拡大し、ストックオプションを利用した柔軟なインセンティブ付与を実現することが狙いだ。

この改正は中小企業等経営強化法の改正が前提となる。事業者(同法に規定する「新規中小企業者等」(仮称))は、外部協力者を活用して行う事業計画(「新事業分野開拓計画」(仮称))を作成し、主務大臣が認定。その認定計画に従って活用する取締役・執行役・使用人以外の者(新事業分野開拓計画の実施期間の開始日から新株予約権の行使までの間、居住者であること等の要件を満たす者に限る)をストックオプション税制の適用対象に加える。

中小経営強化法に基づく事業計画認定制度は、計画内容が(1)設立10年未満等の要件を満たしたファンドからの出資を受ける企業が、(2)高度な知識・技能を有する社外の人材を活用し、(3)新事業活動を行い、新たな事業分野の開拓を行うこと。計画が認定されれば、ストックオプションの付与対象者に一定の要件を満たす外部協力者(例えば、ベンチャー企業の成長に貢献する業務を担うプログラマー・エンジニア、医師、弁護士等)が加えられる。

なお、新たにストックオプション税制の適用対象となった外部協力者が、同特例の適用を受けて取得をした株式の譲渡等をするまでに国外転出をする場合には、その国外転出のときに、その株式に係る新株予約権の行使の日における株式の価額に相当する金額により株式の譲渡があったものとみなして、所得税が課される。また、外部協力者の相続人は、同特例の適用はできないこととされている。

ベンチャー企業が飛躍的な成長を実現するには、国内外から質の高い人材を獲得することが重要であり、また、ベンチャー企業では成長段階に応じ必要な人材が大きく変化することから、高度かつ専門的な人材を社外からも機動的に確保することが必要だ。今回のストックオプション税制の拡充により、手許資金が貴重なベンチャー企業でも、ストックオプションを活用することで、高度人材の円滑な獲得が可能になると期待されている。