個人版事業承継税制、経営承継円滑化法の省令案公表

2019年度税制改正において、土地・建物や機械・器具、車両など個人の事業用資産の承継に係る相続税・贈与税を納税猶予する個人版事業承継税制が創設される。その適用の前提となる要件は、経営承継円滑化法において定められることとなるため、経済産業省では、都道府県庁の認定や手続きを規定する同法の施行規則を改正する省令案を公表している。改正省令案は、本年1月1日以後の相続・贈与等から適用する予定。

個人版事業承継税制は、2019年1月1日から2028年12月31日までの10年間限定で、相続人が、相続等により事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を100%猶予し、後継者の承継時の現金負担をゼロにする。既存の事業用小規模宅地特例との選択制となる。

また、同承継税制は、経営承継円滑化法の認定を受けた中小企業者を対象とし、同法施行規則において、認定要件、用語の定義、申請の期限、取消し事由等を定める。省令案では、認定要件に、適用対象となる相続人である「後継者」が、税理士など認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成した計画で、被相続人、後継者、承継までの経営見通し、承継後の事業計画等が記載された個人事業承継計画の確認を受けていることを挙げた。

この計画が提出できる期間は2019年4月1日から2014年3月31日まで。このため、納税猶予制度自体は2019年1月から2028年12月までの10年間の相続・贈与が対象だが、2019年度から5年以内に予め承継計画を提出することが必要となるので注意したい。一方、認定の申請期限は被相続人の相続開始の日の翌日から8月を経過する日、認定の有効期限は認定を受けた日の翌日から2年を経過する日としている。

そのほか、「後継者の要件」については、中小企業者であり、かつ、個人事業者である受贈者が「相続税の納税猶予制度」の適用の前提となる要件に加えて、(1)贈与の日において、18歳以上(2022年4月1日前は20歳以上)であること、(2)贈与の日において、特定事業用資産に係る事業又はこれと同種の事業に3年以上従事していること、との要件を満たすこととされている。

同施行規則を改正する省令案の概要は↓
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000183278