2019-03-07
株式会社を新規設立するに当たり、まず悩むことの一つは資本金をいくらにしたらいいかということだろう。2006年の会社法の施行に伴い、最低資本金制度が撤廃されたため、現行法上は資本金の金額を自由に決めることができる。極端な話、1円でも会社設立は可能だ。ただ、資本金はその会社の信用にも関わってくる。会社の登記簿謄本には資本金の額が記載されており、誰でも見ることができる。
資本金の額は、その会社の規模や財政的な体力を確かめる上で重要な目安となるため、新たな取引先が登記簿謄本を見たときに、資本金1円の会社と取引したいとは思わないかもしれない。また、金融機関から融資を受ける際の審査においても、資本金の額は重要な審査項目の一つとなり、場合によっては金融機関から融資を受けられなくなる可能性もある。さらに、事業開始当初に必要な運転資金を資本金で賄うケースも考慮する必要がある。
一方、資本金の額によって、税務上の取扱いが異なるケースが多々ある。資本金が1000万円未満の会社は第1期目・2期目の消費税納税義務が原則的には免除される。ただし、第1期目開始の日以後6ヵ月間の課税売上高又は給与支払額が1000万円を超えた場合は、第2期目の消費税納税義務は免除されない。また、資本金が1000万円以下の会社であれば、都道府県や市区町村に納付する均等割が最低金額(7万円)で済む。
こうしたことを考慮すると、特に比較的小規模な会社の設立を考えているのであれば、資本金を1000万円未満(1000万円ではダメ)にすれば、設立初年度(第1期目)の消費税納税義務が免除され、なおかつ法人住民税の均等割りについても最低額の7万円(市町村民税5万円+道府県民税2万円)で済むということになる。したがって、100万円~900万円の範囲で資本金を決めるのが妥当ではないかとみられる。
なお、取締役の数については、取締役会を設置する場合は3名以上の取締役と1名以上の監査役が必要になる。ただ、発行済み株式の全てを譲渡制限付き株式にすれば、取締役会を設置しなくてもよいので、取締役1名でも会社設立はできる。取締役の任期は原則2年で、取締役に変更がなくても2年ごとに重任登記が必要になり、その都度費用が発生するが、これも譲渡制限付き株式にすることで取締役の任期を最長10年まで伸ばすことができる。