2019-03-25
国土交通省が19日に公表した2019年1月1日時点の地価公示によると、商業・工業・住宅の全用途(全国)で1.2%のプラス(前年0.7%上昇)と4年連続で上昇した。上昇幅も3年連続で拡大し、上昇基調を強めている。住宅地は0.6%(同0.3%)、商業地は2.8%(同1.9%)上昇。三大都市圏以外の地方圏でも住宅地が1992年以来27年ぶりに上昇に転じるなど、全国的に地価の回復傾向が広がっていることが明らかになった。
地方圏の住宅地は前年比0.2%上昇(前年▲0.1%)。商業地(1.0%上昇)・工業地(0.8%上昇)は2年連続の上昇となり、上昇基調を強めている。地方圏のうち、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では全ての用途で上昇が継続し、上昇基調を強めている。地方四市を除くその他の地域においても、商業地が1993年から続いた下落から横ばいとなり、工業地は1992年以来27年ぶりに上昇に転じた。
国土交通省では、地価上昇の背景として、(1)交通利便性等に優れた地域を中心に住宅需要が堅調、(2)オフィス市場の活況、外国人観光客増加による店舗・ホテル需要の高まり等、を挙げている。住宅地については、雇用・所得環境の改善が続くなか、低金利環境の継続や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあって、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調であり、2年連続の上昇となった。
商業地については、外国人観光客を始めとする国内外からの訪問客の増加、インフラ整備や再開発事業等の進展による利便性・繁華性の向上等を背景に、主要都市の中心部などでは、店舗、ホテル等の進出意欲が依然として旺盛だ。このような商業地としての収益性の高まりに加え、金融緩和による良好な資金調達環境もあいまって、法人投資家等による不動産取得意欲が強いことから、商業地の地価は総じて堅調に推移し、4年連続の上昇となった。
ところで、毎年7月には国税庁から相続税・贈与税を計算するときの土地の評価額である路線価が公表されるが、地価公示価格は、売買実例価額や不動産鑑定士等による鑑定評価額等とともに、路線価を算定する際の基となることから、地価公示価格の上昇が今年の夏に公表される2019年分路線価に影響を及ぼすことが予想される。
この件については↓
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000251.html