2019-04-10
経済活動の国際化に伴い、国内法人で働く外国人や長期間日本に滞在する外国人も年々増加しており、納税義務や納税額を判定する際、「居住者」と「非居住者」のどちらに該当するかは、とても重要なポイントになる。所得税法では、所得税の納税義務者を「居住者」、「非居住者」、「内国法人」、「外国法人」の4つのグループに分けて納税義務を定めている。「居住者」、「非居住者」などのグループによって、課税所得の範囲が違ってくる。
「居住者」とは、日本国内に「住所」があるか又は現在まで引き続き1年以上「居所」がある人をいい、居住者以外の個人を「非居住者」と規定している。「住所」とは「個人の生活の本拠」をいい、生活の本拠かどうかは客観的事実によって判定することになる。したがって、その人の生活の中心がどこかで「住所」が決まる。また、「居所」とは、その人の生活の本拠ではないが、現実に居住している場所をいう。
居住者(非永住者を除く)は、その人の全ての所得についてわが国において所得税を納める義務がある。非永住者は、居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去10年以内の間に国内に住所や居所を有する期間の合計が5年以下である個人をいう。非永住者は、所得税法に規定する国外で生じた所得(国外源泉所得)以外の所得と、国外源泉所得で日本国内において支払われ又は日本国内に送金されたものに対して所得税を納める義務がある。
また、ある人の滞在地が2ヵ国以上にわたる場合の住所の判定は、例えば、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断する。滞在日数のみで判断するものではないので、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合でも、わが国の居住者となる場合がある。1年の間に居住地を数ヵ国にわたって転々と移動する、いわゆる“永遠の旅人”の場合でも、その人の本拠がわが国にあれば、わが国の居住者となる。
なお、租税条約では、わが国と異なる規定を置いている国との二重課税を防止するため、個人、法人を含めた居住者の判定方法を定めている。具体的には、それぞれの租税条約によらねばならないが、国籍をひとつの判断要素としている条約もある(日米租税条約等)。一般的には、個人については、「恒久的住居」、「利害関係の中心の場所」、「常用の住居」、そして「国籍」の順に考えて、どちらの国の「居住者」となるかを判定する。