2019-05-08
印紙税法上、変更契約書は、「覚書」や「念書」などの名称のいかんを問わず、すでに成立している契約内容の変更を証明する目的で作成された文書をいう。変更契約書に印紙を貼る必要がある文書は、印紙税法で定められている「重要な事項」を変更するものであれば、印紙を貼らなければならない。例えば、建築工事請負契約書に関して、契約金額やその支払期日を変更する文書であれば、重要な事項を変更するものに該当する。
印紙税額は、記載金額によって決まる。契約金額を変更する契約書の記載金額については、契約前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかであるか否かによって、その取扱いが異なる。例えば、変更契約書に変更前の契約書の名称、文書番号や契約年月日など変更前契約書を特定できる事項の記載がある場合で、変更金額が変更前の契約金額を増加させるものであるときは、その増加金額が記載金額となる。
例えば、建築工事請負契約書において、当初の請負金額2000万円を2600万円とすると記載した文書、あるいは当初の請負金額2000万円を600万円増額すると記載した文書の記載金額は600万円となり、印紙税額は1万円となる(軽減税率5000円)。逆に、変更金額が変更前の契約金額を減少させるものであるときは、その変更契約書の記載金額はないものとなり、印紙税額は200円となる。
一方で、変更前の契約金額の記載のある文書が作成されていることが明らかでない場合で、変更金額のみが記載されているときは、その変更金額が記載金額となる。例えば、建築工事請負契約書において、変更後の金額である2600万円が記載金額とされ、印紙税額は2万円となる(軽減税率1万円)。つまり、変更前の契約金額の記載があれば印紙税額は1万円(軽減税率5000円)で済むが、なければ2万円(軽減税率1万円)になる。
このように、変更前の契約金額の記載のある文書が作成されていることが明らかでない場合であっても、変更金額のみが記載されていて、いくら増減したか明らかでない場合には、変更後の記載金額に応じた印紙税を貼る必要があるので注意したい。また、その記載内容により、印紙税額も大きく異なってくるので、文書の書き方ひとつにも留意することが必要となろう。