所得税確定申告、医療・寄附等の各種控除適用者増加

国税庁が先日公表した2018年分の所得税等確定申告では、確定申告書提出者は2221万8千人で前年分を1.1%上回り4年連連続の増加となったが、これを後押ししているのが還付申告だ。還付申告書提出者は2010年分(1267万3千人)からほぼ微増で推移しており、2018年分は1305万6千人と前年分より1.8%増加して1300万人を突破し、確定申告者全体の58.6%と6割近くを占めている。

還付申告の状況をみると、最多は医療費控除の759万5千人で前年分から1.2%増加。このうち2017年分からスタートした「セルフメディケーション税制」適用者は2万6215人と、前年分(2万5680人)から535人の微増と伸び悩んでいる。同税制(医療費控除の特例)は、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)の購入費用について所得控除を受けることができるもの。

また、寄附金控除の適用者は、所得控除と税額控除を合わせて304万人と300万人を超えた。このうち、所得控除は273万6千人が4235億円を控除しており、前年分(224万1千人、3461億円)から大きく伸びた。これは、過熱する返礼品合戦を背景に「ふるさと納税」への寄附者の増加が要因だが、返礼品の見直しが今年6月1日から実施されたことから、駆込み寄附とその反動が今年分の寄附額へどのように影響するのか注目される。

そのほか、雑損控除等の適用者の増加も目立つ。雑損控除等は、昨年1年間に大阪北部地震(6月)、西日本豪雨(7月)、北海道胆振東部地震(9月)など大きな災害が発生したことから、適用者は4万4千人(前年分2万3千人)、その控除額は1138億円と前年分(320億円)の約3.6倍となった。また、税額控除が受けられる災害減免法の適用者は1万人でその控除額は11億円に及んでいる。