2019-06-13
本年10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%に引き上げられると同時に、消費税の軽減税率制度が実施される。そこで国税庁はこのほど、「消費税の軽減税率制度に対応した経理・申告ガイド」をHP上に公表した。同ガイドは、事業者に知っておいてほしい軽減税率制度の概要と、消費税課税事業者を対象とした「区分経理(記帳)」から「消費税申告書の作成」までの基本的な流れを説明している。
まず、軽減税率制度が導入され、日々の業務で対応が必要になることは、軽減税率対象品目の「仕入れ(経費)」があるか確認する。軽減税率対象品目の仕入れがある場合、区分記載請求書等保存方式の下では、請求書等に「軽減税率対象品目である旨」や「税率の異なるごとに合計した税込金額」の記載がなければ、その取引の事実に基づき追記することもできる。請求書等に基づき、仕入れを税率の異なるごとに分けて帳簿等に記帳する。
売上については、軽減税率対象品目を確認し、顧客からの問合せに答えられる準備をする。軽減税率対象品目の売上がある場合、区分記載請求書等保存方式の下では、請求書等に「軽減税率対象品目である旨」や「税率の異なるごとに合計した税込金額」を記載して交付する。請求書等(控)に基づき、売上を税率の異なるごとに分けて帳簿等に記帳する。免税事業者も課税事業者と取引する場合、区分記載請求書等の交付を求められる場合がある。
申告では、税率の異なるごとに区分して記帳した帳簿等に基づき消費税額を計算する。税率の異なるごとに区分することが困難な場合、税額計算の特例により計算する。軽減税率制度が実施される本年10月1日から一定期間、売上又は仕入れを軽減税率と標準税率との区分が困難な中小事業者(基準期間(法人:前々事業年度、個人:前々年)の課税売上高が5000万円以下の事業者)に対しては、売上税額又は仕入税額の計算の特例が設けられる。
区分記載請求書を基に、帳簿等に記帳する。仕入税額控除の適用を受けるためには、区分経理に対応した帳簿及び区分記載請求書等の保存が必要となる。また、決算を行い、決算書類(損益計算書・貸借対照表等)を作成する。決算の方法には、特に定めはないが、勘定科目ごとのその年の合計額(年間計)のほか、課税取引(税率別)、免税取引、非課税取引及び不課税取引ごとの合計額を記載しておくと、消費税確定申告書の作成が容易となる。
「消費税の軽減税率制度に対応した経理・申告ガイド」は↓
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0019005-113.pdf