再調査の請求・訴訟等の納税者救済・勝訴割合は9.3%

納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所がこのほど公表した再調査の請求や審査請求、訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2018年度)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は9.3%となった。

再調査の請求の発生件数は、消費税(20.1%増の764件)などの税目が増加したことから、全体では前年度から12.6%増の2043件となった。処理件数は、「取下げ等」188件、「却下」149件、「棄却」1549件、「一部取消」237件、「全部取消」27件の合計2150件(前年度比24.6%増)。納税者の主張が一部でも認められたのは計264件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度と同じ割合の12.3%だった。

また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、申告所得税等(14.1%増の1038件)や法人税等(19.8%増の557件)などの税目が増加したことから、全体では前年度から5.1%増の3104件。処理件数は、「取下げ」261件、「却下」136件、「棄却」2310件、「一部取消」139件、「全部取消」77件の合計2923件(前年度比18.1%増)だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同0.8ポイント減の7.4%となった。

一方、訴訟となった発生件数は、法人税(76.7%増の53件)や所得税(11.1%増の60件)は増加したものの、徴収関係(50.0%減の26件)などが減少したことから、全体では前年度を9.0%下回る181件だった。訴訟の終結件数は、「取下げ等」16件、「却下」10件、「棄却」145件、「国の一部敗訴」3件、「国の全部敗訴」3件の合計177件(前年度比15.7%減)。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同6.6ポイント減の3.4%と大きく減少した。

このような納税者救済・勝訴割合は、あくまでも結果論だが、全体でみると、2018年度中に再調査の請求・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計5250件(前年度4411件)のうち486件(同436件)で、その割合は9.3%(同9.9%)と、審査請求・訴訟は減少したが、再調査の請求での救済割合が横ばいだったことから、前年度に比べて0.6ポイント減と微減で推移している。