消費増税の景気への悪影響を懸念する企業が65.0%

東京商工リサーチがこのほど発表した「2019年度消費増税に関するアンケート調査」結果(有効回答数7762社)によると、増税の賛否については、「予定通り実施すべき」は51.4%で、2018年9月実施の調査の47.0%から4.4ポイントアップした。また、「時期を延期して実施すべき」は20.5%、「増税を中止すべき」は24.0%と、10月に実施すべきでないとする回答は合計44.5%で、実施と中止・先送りがほぼ拮抗している。

消費増税の景気への影響の予想については、「景気は良くなる」との回答が0.7%に対し、「景気は悪くなる」は65.0%で、景気への悪影響を懸念していることが分かった。「景気は現状維持」は34.3%だった。規模別では、「景気は悪くなる」と回答した大企業は58.8%だったのに対し、中小企業は66.3%で、7.5ポイントの開きがあった。「景気は良くなる」は、大企業・中小企業ともに1%未満にとどまっている。

消費増税の自社への影響の予想では、「どちらともいえない・分からない」との回答企業が59.7%で最も多く、次いで、「マイナスの影響がある」が38.4%、「プラスの影響がある」は1.8%にとどまった。規模別で、「マイナスの影響がある」は大企業が30.8%だったのに対し、中小企業は40.0%と9.2ポイントの差があり、企業規模が小さいほど、消費増税の悪影響を懸念する声が強かった。

「マイナスの影響がある」と回答した理由(複数回答)は、最多が「増税後の売上(受注)減少」で81.6%と、8割以上の企業が売上減少を懸念している。次いで、「仕入れ先からの値上げ要請」が36.1%、「会計・経理システム変更に伴う費用負担増」が33.4%と続く。「その他」では、「増税に伴う実質賃金の落込みが社員の士気の低下、生産性の低下を招く」や「軽減税率による事務負担の増加」などの回答があった。

消費増税時に実施予定の「キャッシュレス決済時のポイント還元」や「プレミアム商品券の発行」、「軽減税率の実施」の各種施策の中で、「プラスの効果」の最多は「軽減税率の実施」の8.1%。一方、最低は「キャッシュレス決済時のポイント還元」で5.5%。個人に恩恵が高いとみられる施策ほど、企業には逆に負担が増すと考えているようだが、各種施策とも「どちらともいえない」が約8割と高く、その効果を測りあぐねている企業が多い。

同調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190709_01.html