消費税率引上げ、肯定派の企業44%も否定派と拮抗

帝国データバンクがこのほど発表した「消費税率引上げに対する企業の意識調査」結果(有効回答数9977社)によると、2019年10月の消費税率10%への引上げに対する企業の見解は、「予定どおり(2019年10月に)実施すべき」とする肯定派の企業が44.1%(2018年10月調査比0.8 ポイント増)となり、4割を超える企業が消費税率を予定どおり引き上げるべきと考えていることが明らかとなった。

また、2019年10月の引上げに「否定的」(「時期を延期して実施するべき」13.3%、「実施するべきでない(現行の8%を維持)」23.6%、「消費税率を引き下げるべき」7.4%の合計)な企業の割合は44.3%となり、予定どおり実施すべきと考える企業と拮抗する結果となった。規模別にみると、肯定派の企業は、規模が小さくなるほど割合は低くなり、「小規模企業」(40.0%)は「大企業」(47.8%)を7.8ポイント下回った。

消費税率引上げによる自社の企業活動への影響については、「マイナスの影響がある」と回答した企業が50.8%の一方、「プラスの影響がある」企業は1.2%にとどまり、「影響はない」は30.3%となった。企業活動に「マイナスの影響」を見込む企業を業界別にみると、「小売」が78.4%と突出して高かった。以下、「農・林・水産」(59.3%)、「不動産」(54.2%)、「卸売」(53.5%)、「金融」(50.9%)が5割超となった。

自社の事業における現時点での駆込み需要の状況は、「既に駆込み需要がある」企業は7.4%。また、「(現在駆込み需要はないが)今後出てくる」(23.1%)と見込む企業と合わせても30.5%と、駆込み需要を実感もしくは見込む企業は3割程度となった。一方で、「駆込み需要はなく、節約モードになっていると思う」(溶融メッキ、広島県)との意見のように、「(現在も今後も)駆込み需要はない」(48.2%)とする企業は約半数にのぼった。

「既に駆込み需要がある」企業を業界別にみると、「建設」が19.6%でトップ、次いで、「不動産」が8.1%、「金融」が7.1%と続いた。「建設」以外は1割未満となり、現時点で駆込み需要を実感している企業は少数にとどまった。他方、「(現在も今後も)駆込み需要はない」と回答した企業を業界別にみると、「サービス」(60.2%)が6割超となり、以下、「農・林・水産」(57.4%)と「不動産」(55.8%)が5割台で続いた。

軽減税率制度の導入に対する現時点での対応状況は、軽減税率への対応を「実施」する企業は40.4%と、約4割の企業にとどまった。他方、「特に対応していない」(49.3%)が半数近くに達しており、対応への遅れが浮き彫りになった。特に、「小規模企業」で「特に対応していない」(59.5%)が約6割となっており、規模が小さくなるほど軽減税率への対応を行っていない実情が明らかになった。

同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190703.pdf