2019-08-06
全国銀行協会はこのほど、2020年度税制改正要望を公表した。それによると、人生100年時代における家計の安定的な資産形成の促進のためにとして、(1)NISAの恒久化及び利便性の向上等、(2)確定拠出年金税制の拡充等、(3)金融所得課税の一体化の推進等を掲げた。公的年金だけでは老後資金が不安視されているなか、高齢・長寿社会での豊かな老後生活の実現には、現役世代のうちから資産形成を行うことが有用としている。
本年3月末時点で、NISAの口座数は1160万口座で累積買付額16兆円、つみたてNISAの口座数は130万口座で累積買付額1330億円にのぼっているものの、時限措置(NISAは非課税期間5年で2023年まで投資可能、つみたてNISAは非課税期間20年で2037年まで投資可能)であることから、つみたてNISAは本年以降、NISAは来年以降、新たに投資を開始する場合に、運用時非課税の対象となる累積投資総額が減少する。
そこで、3つの少額投資非課税制度(NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA)について、非課税期間の恒久化及び制度の恒久化(投資可能期間の恒久化)を行うことを要望。また、確定拠出年金税制については、運用時課税となる積立金に対する特別法人税を撤廃、少なくとも課税の停止を延長することのほか、iDeCo(個人型確定拠出年金)加入可能年齢の上限引上げ等の見直しを求めた。
確定拠出年金の積立金に対しては運用時に特別法人税が企業に課税されることになっているが、来年3月までは課税が停止されている。課税停止が終わり特別法人税が課税された場合、企業の掛金負担の増加や給付額の減少につながりかねないことから、特別法人税の撤廃又は課税停止の延長を要望。また、拠出限度額のさらなる引上げとともに、現在60歳となっているiDeCoの加入可能年齢を65歳に引き上げることも求めている。
また、金融所得課税の一体化をより一層推進することを要望。具体的には、金融資産に対する課税の簡素化・中立化の観点から、金融商品間の課税方式の均衡化を図るとともに、預金等を含め損益通算を幅広く認めること。納税の仕組み等では、これまでの実施状況を踏まえ、納税者の利便性に配慮しつつ、金融機関のシステム開発等に必要な準備期間を設ける等、金融機関が納税実務面でも対応可能な実効性の高い制度とすることを挙げている。
全国銀行協会の2020年度税制改正要望は↓
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/opinion/opinion310738.pdf