2019-08-14
日本商工会議所が会員企業を対象に5月7日から1ヵ月間実施した「中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査」結果(有効回答数3305社)によると、消費税率引上げ後の価格転嫁については、68.0%と約7割の事業者が「転嫁できる」と見込んでいる。前回(2018年7月)調査時と比べると、「転嫁できる」と見込む事業者の割合は4.3ポイント上昇した。「一部転嫁できない」は23.2%、「全く転嫁できない」は8.9%だった。
売上高別では、BtoB事業者はいずれも7割超(76.4%)が「転嫁できる」としているものの、 BtoC事業者では「1千万円以下の事業者」で約6割(56.4%)にとどまり、小規模な事業者は価格転嫁が難しい傾向にある。BtoC事業者の消費税率引上げ後の価格設定は、「全ての価格を一律2%引き上げる」が50.8%、「一部の価格を据え置く」が23.0%だが、「全ての価格を据え置く」とした事業者が7.1%いた。
軽減税率制度への取組状況については、軽減税率対象品目を扱う事業者における「請求書・領収書等の区分記載対応(BtoB事業者)」、「レジの複数税率対応(BtoC事業者)」について、「対応済み/対応中」と回答した事業者は、各62.9%、59.9%といずれも約6割を占めている。うち、売上高別でみると、小規模な事業者ほど「未着手」の割合が増加し、売上高5千万円以下の事業者では、4割超(45.5%)が「未着手」となっている。
BtoC事業者の軽減税率導入後の価格表示については、「総額表示」を選択する事業者が現在の64.7%から50.1%へと約15%減少。テイクアウト・イートインが発生するBtoC事業者においては「総額表示」、「外税表示」のいずれも多様な表示方法等が検討されている。また、経理事務負担の状況については、「売上高1千万円以下の事業者」では約3割(29.9%)が経理事務を「全て社内で対応」しており、税理士等外部専門家の関与がない。
なお、インボイス制度の認知度については、課税事業者の約5割(46.2%)、免税事業者の約6割(58.1%)が「知らない」と回答。課税事業者のうち、それぞれ約1割が「免税事業者との取引は(一切又は一部)行わない」(10.3%)、「経過措置の間は取引を行う予定」(7.3%)と回答。また、免税事業者(BtoB事業者)のうちそれぞれ約1割が「課税事業者になる予定はない」(12.0%)、「廃業を検討する」(7.5%)と回答している。