国税庁、「消費税の転嫁拒否」に関する調査スタート

先月10月1日からの消費税率10%への引上げを受け、中小事業者の間では8%引上げ時と同様に「消費税の転嫁拒否」への不安が広がっているが、こうしたなか、国税庁では、事業者に向けて「消費税の転嫁拒否等に関する調査」の送付を行う。これは公正取引委員会及び中小企業庁からの協力依頼に基づくもの。この協力依頼に応じ、10月以降、順次調査票を税務署から送付することを予定している。

消費税は、生産者から卸売業者、小売業者、消費者といった各取引の段階で価格に上乗せされながら最終的に消費者が負担するもの。事業者が消費税分を取引価格に正しく上乗せすることは事業者の利益を守るために欠かせないため、取引価格の減額や買いたたきといった消費税の転嫁拒否行為を始め、商品購入や役務利用又は利益提供の要請、本体価格での交渉の拒否、報復行為は禁止されている。

消費税率引上げに伴う消費税の円滑かつ適正な転嫁については政府全体で取り組むこととされており、この取組みの一環として公取委及び中企庁では、商品又は役務(サービス)を供給している事業者が、取引先事業者から消費税の転嫁拒否等の法律上問題となる行為を受けていないかの実態を把握し、問題行為の是正につなげるため、「消費税の転嫁拒否等に関する調査」を実施している。

公取委及び中企庁では、事業者から幅広く情報を収集するため、消費税転嫁対策特別措置法第16条第2項に基づき、国税庁に調査票の送付についての協力を依頼し、国税庁がこれに応じたもの。調査票の送付は全ての中小事業者を対象に段階的に実施することとしているが、回答義務があるわけではない。また回答用紙の回答者氏名欄等の記載は任意とされている。

調査票を受け取った事業者にとっては、調査に協力したことが取引先等に知られないかが気になるところだが、国税庁では、調査に回答したかどうか、またその内容について他の事業者に知らせることはないとしている。また事業者の個人情報等について、税務署から公取委や中企庁には一切提供しないという。書面調査に関して不明な点等があれば、公取委や中企庁が設置している「照会センター」への問い合わせを呼び掛けている。

照会専用ナビダイヤル:0570-783-731 「照会センター」受付時間:平日9:00から18:00(年末年始を除く)